2008
隗の会・12月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

久闊を叙すに新米塩むすび         帆刈 郁

 

秋鯖や包丁持てぬもどかしさ        田中昭次

 

影富士の大きく見えて波郷の忌       内田研二

 

松手入れ酒を貰ひし弱り松         内山玲子

 

飛砂村の土の寄せある葱畑         土門栄子

 

追伸のごとき雲連れけふの月        須賀智子

 

月入れて黙々と食す味噌饅頭        佐山 勲

 

立待や用なきものを買ひに出づ       小山洋子 

 

見せ消ちの人の名虫のこゑ細る       山田悠子 

 

残る蝉力こんにゃく食うべけり       河井良三

 

戦なき刈田に起ちて髪吹かる        斎藤八重

 

詩人たる予感や栗の実の落つる      飯島千枝子

 

吐く息のしまらく雲に冬銀河        細見逍子

 

コスモスや遺影にかける誉め言葉      猪口鈴枝

 

迎へまだ来ぬとごちたるちちろ虫         宮本恵吾

 

白菊や子の掌つめたく取りてをり      長井 清

 

十五夜に近づきたくて瞼閉づ       田中みどり
 

赤まんま軽き嘘言に揺さぶられ       池田英子

 

十六夜やうしろから来る衣の音       森井和子

 

露けしや椅子一脚の停留所         園山敬子