2009
隗の会・3月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

天狼や父なくて父超えられず       きょうたけを

 

寒鰤や魚嫌ひの佐渡育ち         笠原トヨ

 

狼に遭ふたが自慢百歳(ひゃく)で逝く       長井 清

 

雪女郎赤いヒールを置き去りに      猪口鈴枝

 

一網をまるごと寒の鱈まつり       土門栄子

 

耳もとに母の息あり薺爪         須賀智子

 

土筆摘む母の秘密の基地守り       岩本晴子

 

メビウスの罠に堕ちたる目借時      細見逍子

 

姉さん六角蛸薬師には飾売        青柳明子

 

思惟仏のまなざしに添ふ冬すみれ     齋藤八重

 

冬さうび夢にあふ人みな若し       矢畑昌子

 

シーソーにぎつこん大寒乗つてゐる    和田久美子

 

才蔵のわれは看取りの笑ひ中       帆刈 郁

 

菜の花の中を漂ふごとくゆく       榎 和歌

 

街冴ゆる二十三時発神戸行き       米原健二郎

 

分校は今年を限り梅ま白         石井敏子

 

吊るされて乾鮭遠く海を恋ふ       上田公子

 

朝のうちだけの晴眼毛糸巻く       関口道子

 

女正月小龍包を家づとに         荒井和子

 

古希すぎの帯胸高に女正月        金子千恵子