2009
隗の会・4月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

鮟鱇を吊し切りたる二人組        村井幸子

 

桜蕊降る界隈ののつぺらぼう       岩本晴子

 

骨皮となりし腕の鬼は外         宮本恵吾

 

春眠や懐かしきその手の重さ       北山百子

 

小走りに虚子の句の橋風光る       石附法子

 

草原に馬柵つらぬく雪解風        榎 和歌

 

くさめして話の戻るまでの黙       関口道子

 

寒明けや朱鷺の羽根にも恋の色     秋山美喜雄

 

春暁や未来探しの旅に出る        木村魁苑

 

執着の反古あり北の窓開く        細見逍子

 

春めくやパン屋の楽は定刻に       崎啓子

 

日だまりに目を休まする青木の実     山田悠子

 

春の風邪ホラー映画を見しあとに    飯島千枝子

 

前向きに生きたし薔薇の芽の赤く     森田京子

 

蝶生れて天山南路の風に乗る       青柳明子

 

諳んじる九九の確かに春立てり     和田久美子

 

星の夜のふらここによる二人かな     内山玲子

 

賞状のわが名も読めて雛の夜       土門栄子

 

春立つや貯木池の水触れてみる      山本武子

 

杖をつく音やはらかに春近し       内田 粛