2009
隗の会・5,6月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

退くと心に決めし花の下         山内直之

 

群生のどこかさびしき夏の草       田中昭次

 

幸せはペンペン草のハート型       宮崎晴子

 

啓蟄やどこが痒いと猫に問ひ       小山洋子

 

療園の花の鼓動のはじまれり       森井和子

 

万愚節水切り石を弾く水         金谷陽一

 

土筆摘むバスに間のある峡の里      飯島千枝子

 

みつからぬ釦がひとつ霾れり       山田悠子

 

春雨や笹むずむずと立ち上がる      細見逍子

 

兜太氏の尿瓶大事と日脚伸ぶ       内山玲子

 

たもとほる水辺に春の蚊を連れて     須賀智子

 

能管のひびきて桜月夜かな        榎 和歌

 

えごの花老いの二人の献立表       長場方子

 

山桜仰ぎて人の遠かりき         上田公子

 

菖蒲湯の剣の青をかき回す        関口道子

 

母亡き子サックス抱へ入学す       小川マキ

 

天神へ通ふ細道花青木          荒井和子

 

北窓を開ければ朱鷺の島のあり      村井幸子

 

柱撫で我が頭を撫ずる御開帳       石附法子

 

松の芯座して高まる鼓動かな       玉井信子