2009
隗の会・7月の俳句

TOP  月例俳句に戻る


     隗作品抄             大山雅由選

夕さりの豆腐の白く傘雨の忌       内田研二

 

えごは実に小函から出すイヤリング    上田公子

 

曳舟の波音を聞く夜涼かな        木林万里

 

河鹿啼く手に掬ひたる山の水       宮坂明男

 

五月五日象の背中にたてがみが      田中みどり

 

この海を行けばふるさと飛魚跳ぶ     山本武子

 

狼煙台一国なべて田を植うる       和田久美子

 

槌音の遠く蛙の目借時          飯島千枝子

 

喧嘩して潜り込んだる夏布団       大畠正子

 

やさしさをもしやと思ふソーダ水     宮崎晴子

 

点滴の柱まばゆき夕焼けかな       細見逍子

 

水中花開けばひと日誰も来ず       きょうたけを

 

薫風や五感ゆるりと覚めゆける      榎 和歌  

 

青簾下げて風呼ぶ朝かな         笠原トヨ

 

シャンソンの巴里の夜や舟遊び      山田泰造

 

スクワット日課としたり青葉光      小川マキ

 

白靴やおのづと軽ろき旅鞄        崎啓子

 

花みづき風さびしさを誘ひけり      丘 舜風子

 

夏料理珊瑚のかけら箸置きに       永島正勝

 

蚕豆に綿ある不思議茜雲         玉井信子