2009
隗の会・11月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

獺祭忌傷みし辞書を捨てきれず      森井和子

 

秋澄むや星を入れたる星の枡       関口道子

 

新米を送る仕事の小半日         小川マキ

 

群青の岩絵具溶く渡り鳥         荒井和子

 

抜糸すむ富士外輪山の霧も晴れ      山田泰造

 

新走上手に生くる笑顔かな        佐山 勲

松虫草雲の上なる御泉水         山本力也

 

敬老日ワインに浮かぶコルク屑      河合良三

 

蛇笏忌の空や四方山音幽か        長井 清 

 

庄内に霙降る夜の産の声         青柳明子

 

干柿の届く家郷の色をして        矢畑昌子

 

ごぜ宿の木札にしむる秋の声       和田久美子

 

あはあはと卒寿も近し万年青の実     内山玲子

 

夫の忌の晴れて小鳥の来る日かな     須賀智子

 

秋水やゆつくり下るつづら折       飯島千枝子

 

描き終えて安堵の息吹良夜かな      猪口鈴枝

 

片意地も生きるすべなりとろろ汁     山本武子

 

笑はせて病に触れず実南天        宮崎晴子

 

烏瓜夕陽の赤を吸ひ尽くす        菅澤俊典

 

山霧や豆腐のうまき一軒家        石附法子