2010
隗の会・2月の俳句

TOP  月例俳句に戻る


     隗作品抄             大山雅由選

初雪へ太鼓響けり聾学校         宮武佳枝

 

重きことみな軽く言ふ開戦日       内山直之

 

波郷忌や川越えてゆく草の絮       関口道子

 

乾鮭の簾吹抜く風の息          長井 清

 

寒雷に眠れぬ夜半は母思ふ        笠原トヨ

 

雪掻や隣りは北の人らしき        岩本晴子

 

声あげて泣けぬ齢や冬銀河        田中みどり

 

あてどなく万歩目指せる枯野かな     加藤一帆

 

憂きことはおでん煮上がるまでのこと   小山洋子

 

田作りの焙烙番となりにけり       大畠 薫

 

ショールたたむ夢ひそやかにしのばせて  上田公子

 

時雨るるや州浜の石の生きかへり     飯島千枝子

 

暁寒しあばらの骨の軋しみたり      黒川清虚



年の瀬や爪に包丁の試し傷        山本力也

 

白息も揃ひてをりぬ結ひ普請       きょうたけを

 

湯気立てて薬缶の鳴れり冬の駅      内田 粛

 

冬満月きらめき返す近江の海       榎 和歌

 

老衰の猫の骨壺冬の星          和田久美子

 

どなたかと母に問はるる雪        篠原悠子

 

冬日射す玻璃戸にうすきバナナ虫     森田京子