隗作品抄 大山雅由選
荒ぶ夜の明けて白銀初雀 佐山 勲
初明り朴葉の舟を引き寄する 斎藤八重
クッキーを焼きゐる娘冬うらら 米原健二郎
さねさしの相模さまよふ雪女郎 菅澤俊典
鬼やらひ胸の小鬼はそのままに 小川マキ
行きつけの店の面々福寿草 森田廣子
せがまれてふくら雀の餌買ひに 大畠 薫
七日粥変幻自在に老い来たる 河合すえこ
冬の日や窓を出でゆく朝埃 内田 粛
福詣地粉饂飩も寺中に 井上 睦
狐抱き動く歩道の春着かな 須賀智子
春月や閉ぢ忘れたる文庫本 榎 和歌
妄想に相槌をうち毛糸編む 和田久美子
山盛りの鰤の粗買ふ道すがら 森田京子
破魔弓を買ふて荒ぶる風の中 小山洋子
馬彳ちて氷る睫を動かさず 長井 清
冬の川渡りて後ろ振り向かず 上田公子
のぞき合ふ手提げ袋の福だるま 荒井和子
大寒や甘納豆を買ひに出て 山本武子
奥能登の海鳴り強き冬茜 永島正勝
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