2010
隗の会・4月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選


ばんどりに編込む緋色春を待つ      篠原悠子

 

かたくりや並べ干さるるトーシューズ   上田公子



雪降り来授業の子らの遠眼差し      玉井信子

 

春泥を飛び飛び帰る弓袋         きょうたけを

 

葛湯吹く母の隣に居るごとく       須賀智子

 

今にしてこの為体蛙の目         岩本晴子

 

籠り居る日はゆるやかに干菜炊く     小山洋子

 

春寒くトマトスープをなみなみと     斎藤八重

 

鬼やらひ出口をさがす智慧もなく     和田久美子

 

海苔食めば隠岐の岩の香たつきの香    河合すえこ

 

咲きて落つ椿に海のひかりづめ      榎 和歌

 

ランドセル雛に飾る子母は亡く      猪口鈴枝

 

風花の街をたゞよふアルトかな      長井 清

 

春寒し赤きネクタイ締めてみし      河井良三

 

まんさくの花の烟らふ雨上り       飯島千枝子 

 

父の名で母の荷づくり越の鮹       小川マキ

 

その人はぬつと現はるぼたん雪      崎啓子

 

蒲団みな越の山河へ広げ干す       山本武子

 

河豚鍋の二人にあまり子の遠し      丘 舜風子

 

水温むペンキ屋の刷毛縦横に       宮崎晴子