2010
隗の会・5月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

陽炎やきつちり結ぶ靴の紐        関口道子

 

よき人と言はれて暮らすふきのたう    長井 清

 

ダンデイな人の影ふむ四月馬鹿      内山玲子

 

畑打ちのへつぴり腰のわれらかな     河井良三

 

薄紙に唇透けて雛納め          荒井和子

 

春ショール子のそつ気なさそれもまた   森田京子

 

花見まで生きると齢八十九        村井幸子

 

遠来の友をもてなす初音かな       佐山 勲

 

教室に戻り来し子の春つれて       玉井信子

 

滑らかに手話の指先雪解光        青柳明子

 

はこべらをうたひはこべら毟りとる    細見逍子

 

病む人に見透かす力鳥雲に        和田久美子

 

春禽や覚むるに間ある岳樺        篠原悠子

 

花筵もうつまむもの何もなし       きょうたけを

 

霾や色なき街は水の底          須賀智子

 

老い初めしよりの安らぎ花菫       榎 和歌

 

青空につんつん立ちの辛夷かな      大畠正子

 

花冷えの厚き手のひら搾乳婦       早川まさ

 

縮緬は母の匂ひや吊し雛         山本武子

 

落椿もの憂き朝は掃かずおく       宮崎晴子