2010
隗の会・6月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

古希近し聴かせたまへや亀鳴くを     長井 清

 

春一番蟇玄関へ歩ましむ         井上 睦

 

春の日や栞はさむる源義の書       山内直之

 

葦焼くや焔の猛る水の上         山本武子

 

柿若葉活字大きな書を選ぶ        宮崎晴子

 

バラの卓顔逆さまに銀の匙        斉藤八重

 

ひとりよりやつぱり二人花菜粥      榎 和歌

 

鍬持てる腕の細き西行忌         山田泰造

 

ひとひらを追ふふたひらや花篝       菅澤俊典

 

めぐすりの頬をながれて春夕べ      石附法子

 

残雪の穢を濃くしたり父の庭       篠原悠子

 

太巻を一本買ひぬ修司の忌        きょうたけを

 

草朧けふは水辺の道をとり        飯島千枝子

 

調律の音の無機質春暑し         森田京子

 

桐の花けぶる高さの故郷かな       上田公子

 

釣り大会集合場所の大桜         小川マキ

図書館のいつもの席の春帽子       荒井和子

 

ひなげしや子の大好きな鬼ごつこ     崎啓子

 

洋館の白き列柱新樹光          平山みどり

 

蚕豆の剥けば小鉢を満たすほど      富岡美和