2010
隗の会・9月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

帆は風をはらみてすでに雲は夏      森田京子

 

夜濯ぎの音しんかんと山の宿       細見逍子

 

波郷伝開きしままの昼寝かな       河井良三

 

胸元に萩の風くる照子の忌        河合すえこ

 

かの世より風鈴鳴らす風ならむ      丘 舜風子

 

向日葵や素顔で磨く鍋やかん       宮崎晴子

 

ゆふがほや風の音聴く砂の紋       須賀智子

 

いでたちは野武士のそよぎ竹煮草     斎藤八重

 

開け放つ俳句教室青葉風          平山みどり

 

園児らの声に囲まれ梅雨茸        荒井和子

 

どぢやう鍋食うべ地獄の一里かな     北山百子

 

そむく娘に母剥きくれし水密桃      上田公子



白日傘閉づるや霊気杉木立                稲辺  栄

 

母の忌の風鈴二つ吊るしけり       きょうたけを

 

先の世は蟇かも知れぬ黒揚羽       森井和子

 

軒下の影を見すゑる炎暑かな       内田研二

 

立秋や兎の絵皿二枚買ふ         西原瑛子

 

夕菅の花のさざなみ暮はじむ       榎 和歌

 

棟梁の口弁慶や夏終る          岩本晴子

 

船上に冷し酒あり美男あり        飯島千枝子