2010
隗の会・10月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

語り継ぐ漫画もありき終戦日       小山洋子

 

越の田も貫く河も虹の下         長井 清

 

遠花火ふつと盗られし胸のうち      上田公子

 

子ら七人冑七匹帰省かな         小川マキ

 

秋灯下電池の切れし電子辞書       西原瑛子

 

杖止めて池の涼風懐に          内田研二

 

なり過ぎの木の疎まるる青榠櫨      斎藤八重

 

おはぐろや昏きを出でて翳りへと     和田久美子

 

浮石へ硫気なだるるちんぐるま      篠原悠子

 

避暑の地や人踏み均すけもの道      細見逍子

 

十六夜の櫂の音とどく乳児院       きょうたけを

 

帰り来し子に焼き茄子のひすい色     須賀智子

 

白木槿百の咲き出で百落ちぬ       内山玲子

 

本を閉ぢ目を閉ぢ虫の声の中       榎 和歌

 

音程のずれるもありて蝉時雨       岩本晴子

 

母に添ふことの難さやかたつむり     飯島千枝子

 

ちんぐるま咲く山頂の雲迅し       森田京子

 

またひとり逝きて八月終りけり      山内直之

 

律儀にも買うてすぐ鳴く籠の虫      平山みどり  

 

新涼や目覚めの息を深く吸ひ       永島正勝