隗作品抄 大山雅由選
本流へ来て露草を手放しぬ 和田久美子
肝心なことは云へずよけふの月 大畠正子
月光や窓の小さき山の小屋 飯島千枝子
月天心意義ある仕事なりや否や 山田泰造
月光やまこと良かりし五十年 木村魁苑
墓参り君は白髪になつたろか 猪口鈴枝
燈火親し辞書に這はせる虫めがね 平山みどり
語り部となることも良しつづれさせ 青柳明子
晩学のはるけきものに鰯雲 須賀智子
夕日差秋の団扇を猫が踏む 長井 清
検診をすませて天の高きかな 村井幸子
キャンバスの母のイニシャル夜半の秋 米原健二郎
梨剥くや皮の長さがわが流儀 河井良三
揺りかごに赤子の眠る夜の秋 荒井和子
葛の花隠しとほせし恋もあり 森井和子
ひとり居の自由不自由鰯雲 崎啓子
窓際に寄せる穂波も猫じやらし 伊藤俊彦
風に揺れ人声にゆれ秋桜 石附法子
金管のマーチ燃え立つカンナかな 佐藤禮子
寝袋を二つ並べて流れ星 梅田知子
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