2010
隗の会・11・12月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選

 

本流へ来て露草を手放しぬ        和田久美子

 

肝心なことは云へずよけふの月      大畠正子

 

月光や窓の小さき山の小屋        飯島千枝子

 

月天心意義ある仕事なりや否や      山田泰造

 

月光やまこと良かりし五十年       木村魁苑

 

墓参り君は白髪になつたろか       猪口鈴枝

 

燈火親し辞書に這はせる虫めがね     平山みどり

 

語り部となることも良しつづれさせ    青柳明子

 

晩学のはるけきものに鰯雲        須賀智子

 

夕日差秋の団扇を猫が踏む        長井 清

 

検診をすませて天の高きかな       村井幸子

 

キャンバスの母のイニシャル夜半の秋   米原健二郎

 

梨剥くや皮の長さがわが流儀       河井良三

 

揺りかごに赤子の眠る夜の秋       荒井和子

 

葛の花隠しとほせし恋もあり       森井和子

 

ひとり居の自由不自由鰯雲        崎啓子

 

窓際に寄せる穂波も猫じやらし      伊藤俊彦

 

風に揺れ人声にゆれ秋桜         石附法子

 

金管のマーチ燃え立つカンナかな     佐藤禮子

 

寝袋を二つ並べて流れ星         梅田知子