2011
隗の会・2月の俳句

TOP  月例俳句に戻る


     隗作品抄             大山雅由選      

 

大根引く残る力を試しつつ        髙崎啓子

 

青年のころの父知り蜜柑むく       玉井信子

 

東京のなまり懐かし蕪蒸         森山蝶二

 

氷頭膾忘れし恩を思ひ出し        遠藤真太郎

 

秋の夜の灯影に揺るるタンゴかな     田中 穣

 

掌に逝く小鳥のぬくみ小六月       佐山 勲

 

どぢやう掘る三本鍬を振るひては     山本力也

 

蜜柑摘夕日を負ひて帰りけり       内田 粛

 

すでに夜を木枯一番通り抜け       斉藤八重

 

枯菊や風に応ふる色残し         和田久美子

 

駆け落ちの相手はをらず海鼠噛む     きょうたけを

 

身削ぐごと去年より薄き日記買ふ     細見逍子

 

冬蜂の日差し力に石を攀づ        須賀智子

 

末枯や野に座す石に日のぬくみ      榎 和歌

 

夕落葉山の天気は明日も晴れ       飯島千枝子

 

負けん気のさみしさ隠す黒ショール    森田京子

 

無精髭のばして三日火の恋し       長井 清

 

文化の日一日限りのカフェギャラリー   村井幸子

 

枯菊を燃やし尽くしてけふも晴      早川まさ

 

八十へすこし間のある蕪汁        平山みどり