2011
隗の会・3・4月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選      

       

山神のまだ寝ねおはす農具市       関口道子

 

掘り下げて軒の現る雪の山        高橋長一

 

小波の行きつくところ白魚舟       逸見 貴

 

遠き日の激情に似て雪降れり       玉井信子

 

眠られぬ夜は床抜けの葛湯かな      北山百子

 

人と人ときめき生きて春隣        宮崎晴子

 

元旦やまづ好きな句を諳んじて      森山蝶二

 

初恋を仕舞ひし小筥歌かるた        上田公子

 

一本の藁を引き合ふ寒雀         平山みどり

 

眠る山入れて縄跳び廻しをり       和田久美子

 

海光や凍ててこほらぬ楡の幹       篠原悠子

 

梟やわが腑を闇に置いてきし       須賀智子

 

すんなりと指輪の抜けて風邪籠      榎 和歌

 

引き際の作法見事に春の雪        岩本晴子

 

霰降る千のうさぎの跳ねる如       猪口鈴枝

 

水温むひとりとなるもパン捏ねて     西原瑛子

 

骨太を誇らかに見せ冬木立        小川マキ

 

こね取りの若きが育ち鏡餅        山本力也

 

何事も妻に従ふ師走かな         河井良三

 

根深汁別れの来る日胸にして       吉澤銚子