2011
隗の会・5月の俳句

TOP  月例俳句に戻る


     隗作品抄             大山雅由選      

 

顔あげよすぐに花咲く木のあらむ     森井和子

       

友の手の農を誇りてあたたかし      森田京子

 

大方は春泥の靴診療所          小山洋子

 

大波や岩海苔採りの笊流す       山田泰造

 

かきつばた昔男のいらち癖        細見逍子

 

透析に若き医師くる四月かな       大畠正子

 

水草生ふ流れにヤゴの飛び跳ねて     田中 穣

 

うららかや負けず嫌ひの女弓       安田みつる

 

雲行にしたがふばかり花菜漬      齋藤八重

 

求むるものはつかになりて蜆汁      玉井信子

 

まつすぐにこの世生きたし蜷の道     きょうたけを

 

出立の餞ならん春疾風          岩本晴子

 

天地の歪める朝の初音かな        上田公子

げんげ田の花の盛りを飛鳥寺       金子千恵子

 

追ひかけてくる足音も青き踏む      関口道子

 

春光や幟の招く高尾山          伊藤俊彦

 

川の瀬の石跳び渡る梅若忌        菅澤俊典

 

涅槃雪猫の足跡より融けて        木林万里

 

雪壁の間を流るる春の雲         高橋長一

 

春めくやこの日のやうにこれからも    木原正則