隗作品抄 大山雅由選
地中より現れしみ仏あたたかし 篠原悠子
春夕焼貨車より牛の貌が出て きょうたけを
春田打遠くに銀の牛久沼 荒井和子
かたくりの花やどつどど風の来て 崎啓子
道標に木の名鳥の名夏立ちぬ 榎 和歌
古地図長閑か「エガク丁」とは医学町 須賀智子
春潮のゆつくり返す村まつり 小形周子
五月雨はふと百歳の母の声 藤崎昭子
春宵や白寿となれば大往生 岩本晴子
けふ立夏曇りの空へ背を伸ばし 齋藤八重
春眠や目覚めて古希と思ひ知る 佐山 勲
耕人にさはりなき位置鷺歩む 小山洋子
糠漬をぱりぱり食うべ立夏かな 米原健二郎
更衣灰汁の抜けたる馴染客 菅澤俊典
十三湖母のぬくみの蜆汁 金子律子
字余りの人生もあり竹の秋 宮崎晴子
雁引くや喪ひしもの帰らずに 佐藤禮子
春の地震赤子の目玉くるくると 萩原宏美
息深く生きる幸せ青葉風 大沢民子
桜草リボンひらひらうなゐ髪 内山玲子 |
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