2011
隗の会・10月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選      

 

小半を残し草引く夕かな         永島正勝

 

白桃や愛はひたすらつつむこと      上田公子

 

かなしびは胸の洞より大文字       須賀智子

 

茄子漬や故郷の色そのままに       河井良三

 

萩の風口約束の巧みさに         岩本晴子

 

土用干茶箱の底の角帽子         小山洋子

 

サブといふ犬のゐしこと星月夜      木林万里

 

今日もまた賢母になれずかき氷      飯島千枝子

 

老鶯のこゑたたみくる行在所       河合すえこ

 

秋風や足裏の砂を波が引く        平山みどり

 

鵙の贄乾びて北に雨兆す         長井 清

 

終戦日父母の山河を思ひけり       斎藤八重

 

便りには草の文様虫の秋          稲辺 栄

 

この道をまた歩き出す雲の峰       森井和子

 

郭公の声透く朝のミルクテイー      髙崎啓子

 

母ひとり遺骨なき墓洗ひけり       和田久美子

 

読みはじむ夫の詩集や夏の雲       内山玲子

 

夏芝居泣かせどころに睡魔来て      森田京子

 

パソコンのフリーズフリーズ秋暑し    井上 睦

 

新涼や水藻はなれぬ稚魚五匹       金子律子