2011
隗の会・11・12月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選      

 

新米の荷に書き足して処世訓              関口道子

 

新涼や厨にひびく電子音         髙崎啓子

 

虫去りて耳鳴りばかり夜長かな      高橋長一

 

点滴に聴力戻る遠花火          佐山 勲

 

零余子飯出てより会話弾みけり      平山みどり

 

地震あとのもぬけのからを秋簾      金子千恵子

 

無患子の寺の波郷を訪ひにけり      河合すえこ

 

騎馬戦の女の子の強し天高し       荒井和子

 

知床に着くや流星きりもなし       吉澤銚子

 

秋の夜や何か書かねば手のさみし     渡辺らん

 

糸瓜棚世間は割と広きもの        逸見 貴

 

大花野駆くるはたちのスニーカー     浜野長衛

 

新顔の川石ひとつ秋彼岸         斎藤八重

 

三十八度線枯桑の奥にあり        きょうたけを

 

十六夜やいよいよ励む鼓の音       内山玲子

 

しろがねの羽を落して小鳥来る      須賀智子

 

赤とんぼ一つとまれば一つ翔つ      榎 和歌

 

虫喰の着物いとほし日の短か       岩本晴子

 

太郎冠者まろぶが如く子蟷螂       長井 清

 

稲架かけて里に夕べの祈り満つ      上田公子