隗作品抄 大山雅由選
波郷忌や受賞のをのこ多弁にて 木林万里
ひしひしと遡上の鮭の叫びがほ 篠原悠子
青みかん愛憎すでに遠くして 斎藤八重
初秋刀魚みなと稲荷へ奉る 長井 清
好日やうなゐ髪照る甘藷畑 山本武子
長き夜や仏の酒を飲み干して 猪口鈴枝
若き街かぼちやランタン灯さるる 佐藤禮子
古希の子と卆寿の母や秋うらら 永島正勝
面白き事を見ばやと案山子立つ 大畠 薫
砲口の先に街あり秋寒し きょうたけを
茸採り熊のとり分残しおく 小川マキ
初穂添へどつさり届く今年米 丘 舜風子
実石榴のすとんと見えを切りにけり 河合すえこ
時雨るるや辻を曲りて元の辻 肥田木利子
流木のふるさといづこ雁渡し 須賀智子
冗談かほうけたふりか鳳仙花 飯島千枝子
ずんだ餅食みて故郷の刈田かな 森井和子
面とれば幼なの顔や神楽舞 中村 格
白を切り通せぬものか唐辛子 遠藤真太郎
黄落の中のプリズン跡地かな 関口道子
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