2012
隗の会・3月の俳句

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 隗作品抄             大山雅由選      

 

地震の地の声なき声や虎落笛      木原正則

 

ハーフコートの股下長し桃青忌     細見逍子

 

凍月やふたたび竹の裂くる音      肥田木利子

 

初泳ぎプールに深く礼をして      荒井和子

 

この日まで生きよと印す新暦      大畠 薫

 

クエ鍋や気合も風邪に空回り      遠藤真太郎

 

煤逃げの水上バスに酒酌みて      森山蝶二

 

ドア閉めてひとり物言ふ寒さかな    飯島千枝子

 

数の子を噛めば音して老いたのし    内藤弘子

 

一本は斜に構へたる氷柱かな      山田泰造

 

辻占の薄紙を伸す三日かな       青柳明子

 

餅花や醒めて喉の渇きをり       渡辺らん

 

頬かむりすれば火男煤払ひ       長井 清

 

婿投げの婿に駆け寄る雪煙       関口道子

 

沈黙も楽しき時や毛糸編む       内田研二

 

初夢の聞き覚えある笑声        須賀智子

 

葱買うて夕暮どきの街灯り       石附法子

 

初氷けふよきことの予感して      森田京子

 

初硯ためらはず筆下ろしけり      富岡美和  

 

初雪や柳絮降る句を読返し       内山玲子