2012
隗の会・4月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選      

 

着ぶくれて我と思へぬ己が影      佐山 勲

 

潮騒の闇近くあり干菜風呂       渡辺らん

 

薬喰なりと僧正人喰ふ         長井 清

 

待春のセロの奏でるセレナーデ     榎 和歌

 

ふるさとは日溜多し寒雀        髙崎啓子

 

ひとり居の鬼も呼びたき節分会     平山みどり

 

大寒の大鍋洗ふ修行僧         吉澤銚子

 

寒卵里のお札も籾の中         中村 格

 

口紅をうつすらさして卒業す      荒井和子

 

八十の夫婦の搗きし餅大小       村井幸子

 

虎落笛負けて果てたる腕相撲      山本武子

 

寒の入りとほく汽笛のほそる夜     森山蝶二

 

湯たんぽやじんわり温き為人      岩本晴子

 

息すこし漏るる土笛春隣        篠原悠子

 

狐火のちらり影絵の山の鼻       細見逍子

 

まづ鍋を囲みて始む初句会       森田京子

 

尾根までを乾ききつたる落葉道     飯島千枝子

春めくや靴の試着に小半時       玉井信子

 

寒卵このごろすこし聞き上手      西原瑛子

 

悴みてちよぼちよぼと顔洗ひけり    河井良三