2012
隗の会・5月の俳句

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    隗作品抄             大山雅由選      

 

ひたすらにただ歩きたる西行忌     羽鳥洋子

 

見つけたり秘仏に似たる蕗の薹     金子律子

 

海苔干せる一村碑残すのみ       永島正勝

 

春光や田のまだ白き越の里       小形周子

 

春雨や町の本屋は小さくて       金田典子

 

薄氷やほんのり紅き梅林        河井良三

 

白木蓮見上ぐる首を撫でにけり     森 廣子

 

春来たり除染工程回覧板        玉井信子

 

冴返る豆腐料理の潤み椀        荒井和子

 

流氷の雲より遅き歩みかな       逸見 貴

 

蠟梅やもの書かぬ日の文机       渡辺らん

 

ふる里の邑に一筋雪解川        森井和子

 

料峭の子規庵に踏む古畳        平山みどり

 

公魚のテント村あり地震の湖      小川マキ

 

つづら折り登れば春の海に富士     村井幸子

 

藪漕ぎの末に掘りたる山の独活     山本力也

 

はや花菜学び舎望む丸時計       菅澤俊典

 

雛の燭グラスの火酒の揺れあへり    佐藤禮子

 

山あひの朱の鉄橋や名残雪       梅田知子

 

春めくや野川の風に身をさらし     木原正則