隗作品抄 大山雅由選
花御堂出でマクベスに会ひにゆく 森田京子
釣人の釣つては放つ春日かな 河井良三
牛の仔の生れし祝や草の餅 渡辺らん
夜桜や呪文三つ四つ魔女めきぬ 玉井信子
源義墓拝して春を惜しみけり 髙崎啓子
母の日や美しきことのみ憶えをり
梅田知子
磴けはし登りきつたる青葉風 吉澤銚子
昏々と眠れる人へ初袷 大畠 薫
見応への燕返しや峡の宿 河合すえこ
裏口に筍飯の届きをり 山田泰造
噴き上げて筍飯の厨かな 富岡美和
左のみダイアのピアス業平忌 稲辺 栄
独活の饅わかるわかると言はれても 篠原悠子
子離れの潮時なるや更衣 岩本晴子
役行者現れさうな春の山 飯島千枝子
母の日のやまなみのみななだらかに 榎 和歌
安達太良の空の真青を初燕 小山洋子
涼風を招き入れたる仏間かな 黒川清虚
蜃気楼島影二つ増えゐたり 須賀智子
馴初めをつい口に出し桜餅 山本武子
|
|