隗作品抄 大山雅由選
暮早し一口説法力みなく 岩本晴子
マクベスも蜘蛛巣城も冬の霧 菅澤俊典
梵鐘や出羽の山なみ雪降り来 河合すえこ
往生などあてにせぬなりとろろ汁 岩田 桂
鴨川の水なみなみと豊の秋 横山多加
葡萄食むお世辞上手な男来て 山田泰造
上棚の毒薬天秤身にぞ入む 須賀智子
蓮根掘る海抜ゼロの表示板 きょうたけを
水澄めり山の向うが見えてゐて 篠原悠子
胸の内告げぬままなり曼珠沙華 森田京子
女郎花美醜あざなふ縄のごと 細見逍子
拾ふたび胸にふる里栗袋 佐山 勲
腕かして人喜ばす秋の暮 小山洋子
木々透けてはやき瀬音を崩れ簗 長井 清
テイファニーの鎧戸開く秋の蝶 荒井和子
籐椅子の軋みは我のきしみとも 髙崎啓子
枝下す木口の白や鵙高音 金谷陽一
母と子と胸中語り温め酒 小川マキ
衣被世俗に疎くなるもよし 山本武子
敵役は恋の焚き付け青蜜柑 木林万里
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