2013
隗の会・3月の俳句

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     隗作品抄             大山雅由選     

 

聖夜劇出番違へる羊の子         森井和子

 

冬怒濤見てより生気甦り         玉井信子

 

小春日のこの遠耳の生返事       肥田木利子

 

蛇口より汲む若水のほとばしり      黒川清虚

 

夜も更けて猫と毛布を分かち合ふ     富岡美和 

 

あんぽ柿はるかに島の見え隠れ      猪口鈴枝

 

通ひ夫いささかなれて冬至かな      大畠 薫

 

晝も夜もひたすら手紙書く師走      西原瑛子

 

灯を消すやにはかに寒き紙の音      篠原悠子

 

昨夜の雨葉末に止め冬牡丹        森田京子

 

鰤起し佐渡あかるみて止みにける     岩田 桂

 

律儀なるをとこの年賀あなかしこ     小山洋子

 

大晦日鳥の汚せる畳拭く         佐山 勲

 

みかん剥く夫の寝息を確かめて      小川マキ

 

さざなみの綺羅より現るるかいつぶり   山本武子

 

鯛焼の餡の熱さのとび出して      吉沢まゆみ 

 

夕月を仰ぎ了りぬ冬構          須賀智子

 

潮騒を玻璃に聞きをる柚子湯かな     渡辺らん

 

葱下げて暮色にどつと囲まるる      上田公子

 

膝掛にほのかに残るパイプの香      内山玲子