作品抄 大山雅由選
黄沙降る小声に歌ふ反戦歌 荒井和子
虫出しやあすは小雪の混じるらし 長井 清
赤子抱く若き男や風光る 儀賀洋子
隗創刊号を再読花の下 佐山 勲
花盛り子規球場に声あがる 木林万里
春風や大筆枠を跳びだして 杉田陽子
学校の山羊にとどくや卒業歌 渡辺らん
花筏かき分け上る作業船 山内直之
火渡りの行者の呪文春霞 赤池秀夫
水鳥の沈みて元の花筏 江向洋子
茂吉忌や医師の手元のパソコン画 岡本京子
春菜食むヤクの鈴の音響きけり 鴫谷良雄
雛の間にならべ母子の布団かな 大畠 薫
まどろみの夫を残して野遊びに 小川マキ
かたくりの一輪朽葉隠れかな 中村 格
西行忌冷たき風に身をさらし 飯島千枝子
知らぬ子も座つてをりぬ花筵 吉澤銚子
土佐水木大臣閣下ジョギング中 佐藤禮子
燕くる深き庇に傷数多 梅田知子
雪解水生るる音して千枚田 清原伸江
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