名物裂とは?

もともとは大名物・名物・中興名物といわれる茶道具(主に茶入)をやさしく包む 布という意味合いから生まれた名称で 江戸時代の初め 小堀遠州が先人 たちの表具裂・袋裂の整理を試みた頃に確立したといわれています 名物裂の名称を世に広めたのは 『古今名物類聚』の著者松江出雲藩七代 目藩主松平不昧の功績です

渡来時期・生産地

茶の湯が盛んになった室町時代後期から江戸時代中期にかけて 外国(主 に中国‐宋・元・明・清や南方諸国)から舶載された大変高価で貴重な裂です わが国への渡来年代により 極古渡り・古渡り・中渡り・近渡り・新渡り・今渡りに 分類され 今渡りには日本製も含まれます

種 類・名 称

種類は 金襴・銀欄・緞子・間道・モール・印金・金紗(竹屋町)・更紗・ビロード などがあり 総数は400に近いといわれています それぞれの名称の由来には 大きく分けて 次のようなものがあります
(1)名物茶器の名に因んだもの・・・木下金襴 伊予簾緞子など
(2)有名な袈裟・掛幅・戸張などの所蔵寺院の名によるもの

・・・興福寺銀欄 清水切など

(3)所有者によるもの・・・利休間道 角倉金襴 紹鴎緞子など
(4)裂の文様によるもの・・・荒磯緞子 双銭(なめせん)金襴 いちご錦など
(5)所持した遊女・大夫によるもの・・・吉野間道 定家緞子 白極緞子など
(6)織物の種類によるもの・・・しじら間道 蜀江錦など
(7)歴史的事象によるもの・・・二人静金襴など
また ひとつの裂に異名のある場合や 同一名で種々のものを含む場合もあります

数寄の極み 手鑑・裂帖

その価値一国とも一城ともいわれた名物茶入を包む名物裂は 今では想像もでき ないほどの高価なもので 一寸四方を「一坪」と数え金何枚もで取引され 現在の 金額で換算すると B5判大のもので1500万円ともいわれています そのような高価なものですから 仕覆や表具の余り裂や使い古した裂など 方寸の 裂をも惜しんでスクラップされました 「手鑑」「裂帖」といわれるものがそれで 大名 家や茶人・袋物師の家などに代々伝えられています 当会コレクションの『冬木家伝来名物裂帖』は 元禄時代の豪商冬木家に伝わった 裂帖で 屏風畳みの裏表に約300枚の本歌解き袋が貼ってある文字通りの圧巻で 現存する裂帖のなかでも五指にはいる見事なものです

 
 

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