・アルビノについて

 アルビノの金魚は日本国内では、1972年に埼玉県の金魚愛好家である入江史郎氏が江戸川区にある蕎麦屋で発見した目の赤い和金を譲り受け、それを元に改良を加えたもの、1979年に当時の東京水産試験場の水元飼育池にて発見されたアルビノの琉金(江戸茜)、1985年に埼玉県の平賀養魚場で発見されたアカメリュウキン等が知られているが、いずれも一般愛好家の目に触れることはなく、アルビノの金魚は長い間幻の存在であった。金魚のアルビノが初めて紹介されたのは昭和31年にアメリカの雑誌「アクアリウム」に、リュウキン型のアルビノが記載されたのが初めてである。それより数年前に、アメリカの旅行者がシンガポールより持ち帰り、殖やしたといわれるが、残念なことにこの系統は絶滅したといわれている。その後昭和40年12月に当時ニューヨーク州立大学の客員教授として赴任されていた名古屋大学名誉教授の山本時男博士が、ニューヨーク最大のペットショップ「ファバース」で発見され、同行の富田英夫氏とともに買い求め、翌年帰国の際持ち帰られたといわれている。その後、名古屋大学理学部で繁殖し、アルビノ遺伝の解明が行われ、梶島孝雄博士は交雑実験の過程で、アルビノワキン、アルビノ透明鱗等を育成されたが、これらの品種がその後一般に流通するまでには残念ながら至らなかったようである。その後長い間、幻の存在であったアルビノの金魚であるが、1987年になって突如、タイ産のアルビノ出目金がまとまって輸入されてきた。これはタイのバンコクにおいてごく少量の個体が飼育されていたものが日本の業者の依頼により現地にて繁殖したものであるらしい。私は大和郡山の養魚場に立ち寄った際にこのアルビノデメキンを購入したのであるが、体型には少々難がある個体だったものの、長年憧れの存在だったアルビノの金魚を入手出来たことがただただ嬉しかったことを覚えている。最近になり入江氏を中心として一部の愛好家の間で次々と新しい品種が作られるようになり、一般愛好家でも手頃な価格でこれらの品種を入手できるようになった。今後、どのような品種が作出されるか非常に楽しみである。

・アルビノ各種

赤目東錦。(スケルトンタイプ)目が赤いという点ではアルビノと共通するが、アカメは遺伝的に正常に近いメラニン色素を持っているという点でアルビノと異なる。

アルビノ東錦。(スケルトンタイプ)内臓まで透けて見えるスケルトンタイプの更紗は珍しい。

アルビノ琉金。アルビノは体型的に今一つ物足りないものが多いが、この魚は丸手で欠点もなく良い魚である。

アルビノ文魚。アルビノではあるが、ひ弱さは微塵も感じさせない魚である。