・コメットについて

 古くからなじみのある品種なので、国産の品種のように思われがちだが、実はアメリカ産の金魚である。日本からアメリカへ輸出された琉金が現地で繁殖し、選別不十分からフナ尾がそのまま飼育されたものである。昭和7年に大和郡山市の高槻政蔵氏が渡米した際に持ち帰ったものが、今日の基になったといわれている。彗星のような形をしているところからコメット(comet)と名付けられた。日本産のコメットは更紗模様の綺麗なものが多いが、原産国のアメリカでは水質の違いなのか、体色が黄色のものがほとんどのようだ。以前は側線から上が赤で、下が白い魚が上質の魚とされていたが、近年では錦鯉の紅白のような、背部から腹部にかけて何段かに紅が入る魚が高く評価されているようである。上見で鑑賞していると小型の錦鯉を鑑賞しているようで、錦鯉の豪快さと金魚の可愛らしさを併せて楽しめる品種であるといえる。