・キャリコについて

 キャリコは明治25年に初代秋山吉五郎氏がアメリカ人の依頼を受け、琉金と三色出目金(キャリコ出目金)を交配して作出したもので、明治36年に発表し、この新品種にアメリカ人のフランクリン・パッカード氏がキャリコ(更紗、まだらの意)と命名した。日本人は素赤や更紗などの上品な感じのものを好む傾向にあり、特にらんちゅうの場合は、デリケートな体の線を鑑賞する上で複雑な色彩はむしろ邪魔だとする考えもあるほどだが、欧米人は青、赤、白等の色の組み合わせで、特に青が混ざった色彩のものを好む傾向にあり、そういった欧米人の好みに適合させるために、雑色性の色彩を持つ琉金の注文があったのだろうといわれている。私がこの品種を初めて飼育したのは小学生の時だった。大変失礼な話だが、第一印象としては「汚い金魚だなぁ」といった印象であった。それは当時1匹300円位の、一番下のクラスのキャリコしか見ていなかったからであるが、実際に丸手で綺麗な浅葱色の入ったキャリコにお目にかかってからは、この品種を見直すようになった。全体的に墨が少なめで、両目の黒目が大きい魚はあどけなく、大変可愛らしい表情を見せてくれる。

・理想のキャリコとは

キャリコも琉金と同じ体型なので、体型に関する見所は琉金と同じである。色彩は頭部に鮮明な赤が入り、体色は黒色が細かい斑点で入り、鮮明な赤と浅葱が腹部まで、細かい模様で美しく混ざり合っているものが良く、特に浅葱が全体の割合として多く出ていて色彩的に明るい印象を受けるものが良いとされている。尚、これはモザイク透明鱗の体色を持つすべての金魚に当てはまることであるが、黒色の斑点縞模様が各鰭に入っているもののほうが、色彩的に安定しているといわれている。

江戸川産のキャリコ。骨太で丸手の体型に、浅葱色が多く入った体色が美しい。琉金で有名な東京のH養魚場の頒布会では毎年、琉金と共に上質のキャリコも展示、販売されている。

弥富産のキャリコ。江戸川産のキャリコに比べるとやや長手の魚が多い。各鰭は長めである。

・キャリコ各種

江戸川産キャリコ琉金2歳魚。尾が少し寂しいが、多少の欠点をカバー出来る魅力を持っている。配色抜群で体型も良い魚だ。

最近中国から輸入されているショートテールの桜琉金。熱帯魚のディスカスを思わせるような超丸手の体型でありながら泳ぎは非常に安定しているのが本種の特徴だ。琉金の項に入れるかどうか迷ったが、普通鱗ではないので、一応キャリコの項に入れておいた。理由は不明だが、親サイズで輸入されてくる本種はオス魚が圧倒的に多いようで、未だにメス魚にお目にかかったことがない。