・パールについて

 中国の金魚研究家、陳禎(正しくは木に貞)氏によると、この品種の特性である鱗の出現は、紀元1848年以降とされているが、品種の系統的な類縁については明確ではないようだ。この品種が日本に紹介されたのは比較的新しく、水泡眼と同時期の昭和33〜34年頃、田中喜久一郎氏、江原重利氏により輸入されたものが初めてであるといわれている。かつては画像の魚のように胴が長めで尾が短い個体が主流であり、特殊な鱗が日本人の好みに合わないこともあって、暫くは非常に地味な存在であったが、近年になって、腹部の丸みが強いピンポンパールが圧倒的な人気を誇るようになり、一気にメジャーな品種へとのし上がった。パールの名のとおり、一枚一枚が真珠の玉を半分に切って張り付けたような鱗をしており、石灰が沈着しているためとても固く、はがれた鱗を初めて見る方は驚くと思うが、まるで魚の鱗とは思えないような特殊な構造をしている。このような特殊な鱗のためスレには極めて弱く、水質の悪化にも弱くすぐに充血するため、飼育には充分な注意を払わなくてはいけない。

ピンポンパールが普及する前に流通していたパールは、画像のような魚であった。鱗も現在のものよりパールの特徴がはっきりしない鱗の個体が多かった。(松井佳一著「金魚」より)

女性に圧倒的な人気を誇るピンポンパール。最近はピンポンパールの出目タイプも少しずつ普及するようになり、新たな人気種となっている。

タイ産パールスケールの長尾タイプ。短尾タイプに比べると流通量は少ない。