・桜錦について

 桜錦は平成8年に新種として承認されたばかりの新しい品種である。この品種は、最初からこのような体色の魚を作出しようと意図されたものではなく、頭の良く発達した江戸錦を作出する過程で出現したもので、それを改良した末に完成したものが今日の桜錦であるといわれている。昭和45年頃、愛知県弥富町の深見光春氏が改良に着手され、江戸錦とらんちゅうの交配によって得られた魚の中から、体色の美しいもの同士を交配したものの、思うような結果が得られず、その後らんちゅうと2度交配を重ね、10数年かけて漸く固定化された。市場には20年以上前から既に「桜錦」として出回っていた記憶があるが、当時は体色が赤一色で所々にモザイク鱗が混じった体色の個体が多かったように思う。背なりが良く、肉瘤がある程度発達した魚は非常に高価で、当時は憧れの品種であった。まだまだ上質個体の流通量は少ないが、それでも以前よりはらんちゅう型の、背なりの綺麗な個体を見かける機会が増えてきたようで嬉しい。今後ますます人気が出てきそうな品種である。

日本観賞魚フェアに出品されていた桜錦。シャッターチャンスが悪くて申し訳ないが、こんな画像でも魚の素晴らしさはお判りいただけると思う。

桜錦の親魚。下半身にやや不満は残るが、理想的な配色の大変美しい魚である。

川原産の桜錦。尾形はやや難があるが、配色は申し分なく、上見でも充分楽しめる魚である。