・水泡眼について

 この品種も中国では永らく、宮廷や地方の大家によって門外不出の金魚として密かに飼育されてきた金魚であった。頂天眼とともに奇抜な金魚の代表的な存在である本種も、今ではすっかり日本のものとなった感があるが、中国から日本に輸入されたのは頂天眼よりもずっと遅く、昭和33年に、後に衆議院議長となった山口喜久一郎氏が中国を訪問した際、随行した山口鉄郎氏が出発前に直井銀三郎氏から中国の珍しい金魚を依頼され、それが実現して輸入されたのが最初である。水泡が小さめの個体は泳ぎもスムーズで、とても人懐こいので人気が高いが、飼育は意外と難しく、私も最初の頃は随分と死なせてしまった経験がある。また、死なせないまでも体調が悪くなると、この品種の特徴である水泡が小さくなったり、不対称になったり濁ったりしやすくなる。さらに、このゆらゆらと揺れる水泡は他の金魚にとっては美味しそうに見えるのか突つかれることもしばしばで、いじめの対象になりやすいので、飼育する場合は出来ればこの品種だけで飼育するのが望ましい。特殊な体型故になかなか飼育上の制約が多い品種であるが、清潔な水で飼育し浅い水深でエアレーションはせずに動物性の飼料を与えると良い結果を得られる。又、特徴である水泡を成長させるには低めの水温で飼育する方が良いようだ。

・水泡各種

上の画像と同魚。尾は適度に張りがあって、水泡のバランスが良く、骨太の体型で理想的な水泡眼である。

キャリコ水泡眼の親魚。キャリコ水泡眼は浅葱が綺麗に出ている魚が少ないが、この魚は体型、色彩の両方共に優れた魚である。

ハマトウユウイ。普通の水泡眼よりも水泡がごく小さく出ているタイプである。体高があってなかなか魅力的だが、最近は輸入されていないようだ。(松井佳一著 昭和38年発行「金魚」より)

変わり柄の水泡眼。このような柄も、固定すれば人気種になるのではないかと思う。