ヘルメス 



商売と旅の神さま
ゼウスの息子で神々の使者






■ 悪戯好きの神さまの誕生 ■

 


ヘルメスの母は、他の神々から離れてひっそりと暮らしているマイアという美しい女神です。
ヘルメスはマイアとゼウスの子として生まれました。
ヘルメスは生まれながらにして泥棒と嘘と悪知恵の天才です。



ヘルメスは生まれたその日のうちに母のマイアと暮らしている洞窟から気づかれないようにそっと抜け出し、外で一匹の亀を見つけました。
亀を見つけたヘルメスは、ある発明を思いつき、早速洞窟へと戻り、思いついたものを作ります。
ヘルメスが思いついた発明とは、亀の甲羅を利用した、見事な七弦の竪琴でした。


竪琴を完成させたヘルメスは、早速完成した竪琴を奏でてみます。
そうすると、どうでしょう、その竪琴からは素晴らしく美しい音楽が奏でられました。




次にヘルメスは完成した竪琴を自分のゆりかごに隠し、アポロンの飼っている牛を50頭ほど盗んでしまいました。
牛を盗む時にもヘルメスはその利口な頭を使い、牛の足跡が残らないようにしました。
そうして、牛を隠し自分は何食わぬ顔をして自分のゆりかごに戻り、産着にくるまって寝ていたのです。
ココまでの事を母のマイアに気づかれず、生まれたばかりの赤ん坊が一晩のうちに行ったのですから、どんなにヘルメスが利口な神であったのかが解るというものです。

しばらくすると、牛を盗まれた事を知ったアポロンがカンカンに怒ってヘルメスのところへやって来ました。

「ヘルメス!私から盗んだ牛を直ぐに返しなさい!!」

「何を言っているのです。アポロン神ともあろう方が。私は生まれたばかりで、まだ地面うを踏んだこともありませんよ。私が生まれてからしたことと言えば、産湯につけられ、産着を着せられ母の乳房を吸い、あとはゆりかごで寝ていただけなのですから。」

「そうですよ、アポロン様。この子にあなた様の牛を盗むなんて事は出来るはずがありません」

ヘルメスはシラを切り、マイアは自分の息子の無実を信じて言いました。
しかし、アポロンには物事を見通す預言の力がありますので、ヘルメスが嘘をついている事などお見通しです。


怒り心頭のアポロンはヘルメスをゼウスの前へと連れて行きました。





ゼウスにはすべてお見通しなことを知っているヘルメスはアポロンに牛を返しました。
そして、自分のことを怒っているアポロンの怒りを静めるために自分が発明した竪琴で即興の曲を作り、アポロンに聞かせご機嫌取りをしました。

「なんて素晴らしい音楽だろう、ヘルメス、盗んだ牛はお前にあげるからその竪琴を私におくれ」

すっかり竪琴が気に入ったアポロンはそうヘルメスにいい、牛と竪琴を交換しました。

また、ヘルメスはアポロンに、「アポロンのものは二度と盗むことはしない」と堅い誓いをたてて約束しました。
この事に喜んだアポロンはヘルメスに魔法の杖を贈り、親友として愛することを誓ったのです。
こうしてこの2神は神々の中で特別になかよしになりました。






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