● ペルセウス ●
● ダナエと黄金の雨 ペルセウスの誕生 ● アクリシオスという王にはダナエという美しい一人娘がいました。 アクリシオス王は「ダナエは息子を生み、その息子に将来祖父であるアクリシオスを殺すことになるだろう」という神託受けていたので、ダナエを青銅の部屋に閉じこめ、人を近づけることを厳重に禁じました。 ところが、黄金の雨となったゼウスがダナエのもとに通いダナエは懐妊してしまいます。 ダナエは何とか妊娠したことを隠そうとしますが、お腹が大きくなり、とうとう隠すことが出来なくなってしまいました。 アクリシオスはダナエの大きなお腹をみて雷に打たれたように驚き、非常に憤慨しましたが、一人娘であるダナエと自分の孫を殺すことはアクリシオスにはとてもできません。 しかし、自分を殺すという神託がでている子どもを手元に置いておくことも出来ず、娘と孫の2人のことは海の為すがまま運命にゆだねることにしました。 アクリシオスはダナエと生まれてきた男児を木の箱に入れ、空気穴をあけてやり、海に流しました。 ● メドゥーサとペルセウス ● 海に揺られ流されていたダナエ達親子ですが、やがてセリポス島という島に流れ着きました。 セリポス島で心優しいディクテュスという漁夫に助けられ、2人はこのディクテュスの扶養をうけながらペルセウスが成人するまで穏やかに過ごす事になります。 ダナエ達親子の恩人である、ディクテュスにはセリポス島の王であるポリュデクテスという兄がいます。 この兄は弟であるディクテュスとは似ておらず、乱暴で我が儘な性格をしていました。 ペルセウスが成人した頃になるとポリュデクテスがダナエにしつこく結婚を迫るようになりました。 ダナエはポリュデクテスのことなど好きではありませんでしたので、結婚を断りますが、ポリュデクテスは諦めません。 しつこくしつこく、ダナエに結婚を強要しようとします。 そのたびに、逞しく育ったペルセウスが母を守っていました。 ダナエと結婚したいポリュデクテスにとって、ペルセウスはとても邪魔な存在です。 「なんとかして、あの忌々しいペルセウスを取り除けないか・・・・」と考えていました。 ある時、ポリュデクテスは宴を開き、そのとき贈り物としてひとりひとりから馬を所望しました。 その宴にはペルセウスも呼ばれたのですが、ペルセウスには差し出す馬がありません。 ペルセウスは「私にはお渡しできる馬がありません。そして、馬を買う金も持ち合わせておりません」と王に弁解しました。 そして、こう口をすべらせてしまいます。「私に用意出来るものならば、何でも貴方の望まれるものを取ってきます。たとえ、メドゥーサの首だとしても」 この言葉を聞いたポリュデクテスはすかさず「ではメドゥーサの首を取ってきておくれ」といい、ペルセウスがメドゥーサの首を取りに行かなくてはならないようにしてしまいました。 メドゥーサとはゴルゴンと呼ばれる三人姉妹の末で、元々は美しい女でしたが女神アテナの怒りにふれ、醜い化け物されてしまったもので、髪が蛇で貌を見ると見たものが石になる力を持っていました。 後には引けなくなってしまったペルセウスは、どうやってメドゥーサの首を取るのかを考えていました。 「メドゥーサは姉妹達と一緒におり、姉たちはどちらも不死であるし、どうやって貌を見ないで倒すことが出来るのだろう」 そう、ペルセウスが考えていると女神アテナが現れて、「私が旅に同行し、貴方に協力をしましょう」と申し出てくれたのです。 「アテナ様ありがとうございます。」 ペルセウスはアテナの申し出にに感謝し、喜んでアテナに協力してもらうことにしました。 こうして、女神アテナの協力を得たペルセウスはアテナにメドゥーサの倒し方を教わり、アテナに続き協力を申し出てくれたヘルメス神はメドゥーサを倒すための道具を貸してくれました。 それは隠れ兜と飛行の靴、メドゥーサの首を切るための切るための鎌に首を入れるための袋などです。 こうしてメドゥーサを倒す準備が整ったかのように思われたペルセウスですが、まだ一つ問題がありました。 それは、メドゥーサの貌を見ると石になってしまうということです。 「相手の顔を少しでも見たら自分が石になってしまう・・・どうやったら貌を見ずに倒すことが出来るだろうか・・・」 困ったペルセウスはアテナ神に助言を請いました。 「アテナ様、メドゥーサを倒すときに貌を見ないで倒す何か良い方法はないでしょうか?私には良い方法が思いつかないのです。」 「たしかに貌をみないで倒すことは難しい。これを使いなさい」 アテナ神はそういうと、鏡のように磨かれた青銅の盾をペルセウスにわたしました。 「この盾に写った姿を頼りに目的をとげなさい」 いかに貌を見ないでメドゥーサを倒すかという問題もクリアしたペルセウスはゴルゴンたちの館に忍び込みに行きました。 ペルセウスが館に忍び込んだとき、ゴルゴン三姉妹は皆ぐっすりと眠りこけていました。 ペルセウスは青銅の盾に写った影を頼りに、眠っているメドゥーサに近づき、一気にその首を鎌で切り落としました。 そして、素早く切り落とした首を袋に放り込むとすぐに館から逃げていきました。 メドゥーサの姉たちは妹が首を切られた音で目を覚まし、怒り来るって犯人を捜しますが、隠れ帽子で姿が見えないペルセウスを見つけることはできません。 こうして、ペルセウスはまんまとメドゥーサの首を手に入れました。 |