エキゾチックペットの診療


目次

カメ

  カメのくちばし(嘴)過長
 

トカゲ

・フトアゴヒゲトカゲ
  1.爪の過長
  2.脱皮不全
  3.へミペニス嚢のプラグ(栓子)形成
  4.腫瘍
 
・ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー=レオパ)
  1.脱皮不全
  2.代謝性骨疾患 クル病
  3.目の疾患
  4.へミペニス嚢のプラグ(栓子)形成
 
・ニシアフリカトカゲモドキ
  1.削痩
  2.目の疾患
 
・内部寄生虫疾患
 

フェレット

  フェレットの歯石
 

ハムスター

  ハムスターの外科的治療(手術)
 

ウサギ

  ウサギのコートチェンジ
  ウサギの足と低温火傷





カメ

  ・カメのくちばし(嘴)過長

 カメの嘴は伸びる=過長する事があります。比較的リクガメに多いようです。
嘴は人の爪のように伸びやすいケラチン質という組織でできています。伸び続けるとエサが食べにくくなったり、又は食べれなくなり全身的に 何らかの影響が出てきます。伸びた嘴は割れやすくなるため欠けたり割れてしまったり、嘴が変形することもあります。その変形が顔の形を変 えるほどに重症になる場合もあります。正常な口の形は上の嘴が下の嘴を少し被るようになっていますが、上嘴だけが伸びすぎている場合の方 が多いですが、下嘴が伸びて受け口なってしまう場合もあります。また上下共に伸びて前方に突き出てきたり、上嘴が横に曲がって伸びた例で は口が閉まらなくなるなど、噛み合わせの悪い不自然な形になることもあります。また口の開閉で音がするものもいます。


カメの処置を実施するにはまずは次のことを考えて行う必要があります。
A無麻酔状態=麻酔をかけないでそのまま実施する方法
B麻酔下状態=麻酔をかけて実施する方法
AorB 2つの方法があります。麻酔をかけるとなると予約が必要となり、料金もかかりますので、当院ではなるべく無麻酔で実施するようにしております。ただしこれができるには条件 があります。それは触っても動じないない。首を引っ込める事がないくらい慣れている個体に限りますのでオーナーさんの前でいろいろ触って その基準をお見せします。それにより、麻酔をかけることとなる場合は麻酔の事などをきちんと説明した上で、納得してくださった場合のみ実 施させていただくことになります。全身性にかかる麻酔を使用しますが、麻酔と言っても開腹手術するほどのかけ方はせず、首を触っても引っ 込める力がなくなるダラッとする程度とお考えください。以下写真でAorBの状態をご紹介します。Bの場合どれを見ても一見かなり強くか かっているように見えるかもしれませんが、手術から考えると全然甘い鎮静状態です。ご安心ください。ビクビクするカメや慣れてなくて全く 顔も四肢も出さないカメを安全にきれいに処置するためです。ご理解ください。

では、以下写真を見ながらいくつかの症例をご紹介します。


〔上嘴が過長した症例〕
A麻酔をかけていない=無麻酔で実施した2症例をご紹介します。
CASE1  A無麻酔状態
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befor
上嘴が伸びて、完全に下嘴に被ってしまったカメ。

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整形してきれいになりました。このカメは元々、下嘴が手前に引っ込んでいるために上嘴が過長しやすいと考えられます。


CASE2  A無麻酔状態
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befor
上嘴が過長したカメ

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整形するときれいな顔になりました。ほとんど問題ない状態です。


Bここからは麻酔をかけて=麻酔下で実施した3症例をご紹介します。
CASE3  B麻酔下状態
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このように首を引っ込めたカメ(左)も麻酔がかかると頭や四肢全部がダラッと出てきます(右)。「アレッ!動けない?」「力が入らない! 眠い。ZZZZZ・・・・」
嘴整形では麻酔をかける場合は力が入らない程度であり、開腹手術時より軽い鎮静状態になるようにかけています。あっという間にかけて、 さっさと整形を行い、終わったら直ぐに麻酔から覚ますようにします。

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befor
上嘴が伸びすぎて、口を閉じる事ができなくなっていました。
エサが食べ難いだけでなく、口の中が乾燥したりゴミも入りやすいため、細菌やウイルスが付着しやすくなり感染症を発症する可能性がありま す。

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after
伸びすぎていた嘴を切除したところです。本来はこんなにきれいな顔をしています。


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切断された嘴
 硬度があり、かなりしっかりしています。この写真はまず大まかに切断された嘴です。当院では整形は機械で行いますが、ただ切断するだけ でなく正面、左右、上下方向から見てきれいに形を整えるように整形しますので、実際はこれ以上に切断されている事になります。細かく整形 する事により更なるヒビ割れが起きないように処置しております。


麻酔下での整形の場合は全過程で30分もあれば麻酔導入→整形処置→覚醒までバッチリです。
入院もなく、帰ったらしっかりエサを食べさせてください。


CASE4  B麻酔下状態
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befor
上嘴が伸びて口が閉まらなくなったり、閉まる時にひっかる状態。

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このカメは切除後はの嘴かなりきれいな形となりました。これはあまりひどくない状態だったからです。何事も早期発見!早期治療です。


CASE5  B麻酔下状態
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befor
上嘴だけが前方に過長した状態。オウムの嘴のようになっているため、この場合、口は閉められます。
カメの食べ物や食べ方は鳥とは違うので、このような嘴ではエサを食べることがかなり困難となります。

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after
上嘴の過長した部分を切っただけでこんなにきれいな顔になりました。


〔下嘴が過長した症例〕
下嘴が過長した症例を2例ご紹介します。
嘴過長のほとんどが上嘴で約80%、下嘴は15~20%以下、その他は上下嘴は数%です。(当院での比率です)


CASE6
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befor
下嘴が伸びてしまい受け口のような形になっている状態。これではエサの野菜をすくい上げて突き刺したりと相当食べ難いと考えられます。

B麻酔下
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このカメはbefor3枚の写真のように触ったり写真撮影くらいでは全く動じず首を引っ込めることはなく堂々としておりました。ところが 処置をする事には耐えられないようです。首に力が入ってしまい引っ込めてしまうという事をオーナーさんの目の前で一緒に確認して麻酔をか ける事に同意していただいた症例です。こんな感じでいろんなカメがいます。

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after
このように受け口状になって長く患っていたカメは、嘴の長さ調整はできますが、受け口状の形(前に少しでている状態)はこの時点は治せま せん。嘴は今後も伸びますので長い年月をかけて、伸びたら切断して調整をする事を何回か続けると治る見込みがあります。


終わってスッキリ
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食べやすい嘴になりました。


CASE7  B麻酔下状態
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befor
下嘴が伸びて受け口になり、割れてしまった状態

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after
このように大きく割れた嘴は切除します。ひび割れた嘴をつけていては、思いもしない更なるヒビに繋がる事があります。また伸びてくるので 大丈夫。


カメの嘴過長は、ネズミの仲間やウサギなどの不正咬合を予防する時のように、硬い物を噛ませて過長した部分を削るような予防はできませ ん。そのため、過長するのは仕方のない事ですが、過長しまった嘴は切って整えてあげる事が必要なケアーとなります。過長しやすいのは種類 的な問題もあるのですが、その種類だから必ず起きるわけでもなく、その個体ごとの体質や食べ物、環境が影響しているのかもしれません。そ して一度伸びてしまった個体や嘴変形があるという経歴のカメはその後も過長しやすいということで、過長が始まったら形を整える整形処置が 必要なケアーであることをそのオーナーの皆様が認識しておかなければなりません。オーナーの皆様は毎日お世話をして見慣れてしまうとその 変化に気づかないことが多いのが現状です。よって、エサを食べにくくなった時などもう既に進行した状態で気づくことが多いようです。どれ くらいの期間で変形が始まるか?もう始まっているのか?判別しにくい状況となったら定期健診の一環としてカメの診れる病院で診てもらうと 良いと思います。

「嘴の形がなんか変?、伸びてエサが食べにくくなってるみたい?」と思っているカメのオーナーの皆様はカメを連れてお気軽に当院に来院し てください。食べたくても食べれてないかもしれません。カメにとっては一大事です。早くおいしくエサが食べれるようにしてあげましょう。

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トカゲ

・フトアゴヒゲトカゲ

 

1.爪の過長
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Q:爪が長くて折れてしまう

爪がある生き物は世の中にたくさんいます。爪は何のためにあるのかを考えなくてはなりません。長すぎると歩行に問題が出たり何かに引っかかって思わぬ時に折れてしまったり、場合によっては骨折の原因になることもあります。長い爪は適切な長さに切って整える事はいいことですが、短く切り過ぎると爪の役割を果たせないことでの問題を生じます。飼育環境にも合わせ適度な長さを知って調整することが大切です。

2.脱皮不全
古い脱皮片が付着
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Q:腹部に黄色い染みが出てきて消えない

腹部が染みのように黄色く変化する時に心配されるデルマトフィルス症というものもありますが、デルマトはこういうものではありません。今回のこの症例は古くなった脱皮片がガッツリくっついてしまっていました。この古い脱皮片が綺麗に取れた下の肌はきれいな新しい皮膚ができています。
※脱皮は新しい皮膚が出来上がってから自然に剥けてくるものなので、その新皮がきれいにできていない場合は剥けてきません。フトアゴのように脱皮の範囲の広いトカゲでは部分部分で剥け方に遅れがある場合もありますが、あまりに長い間剥けてこない場合は脱皮不全のことも考えなければならないので日数的にも不安な脱皮片が残っている場合は無暗に剥かないようにして先ずは診察を受けてください。

3.へミペニス嚢のプラグ(栓子)形成
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Q:お尻から何かが出ていて触っても取れない

トカゲ類のオスではこのように総排泄腔に何かが出ていることがあります。
これはヘミペニス付近の脱皮片がきれいに外れずに古くなったまま乾燥し固まってしまった物であったり、精子など体液が乾燥して積もってしまうことでも形成されます。まるで貝柱のような質感になりこの様に出てきます。小さな物であれば自然に排泄されるものですが、ヘミペニス嚢に溜まってしまうと強くくっついてしまって自然には除去できないこともあります。経過が長くなるとどんどん溜まってしまい排泄困難になったり総排泄腔付近に炎症が起こることもあり交尾もできなくなります。
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除去したプラグです。左右にくっついています。

4.腫瘍
トカゲでも良性or悪性の腫瘍が確認されることがあります。体表にできた場合は発見できることもありますが、飼育者がトカゲにも腫瘍ができるという認知度も低いこともあり発見が遅れることも多いようで再発も多く治療が困難な場合もあります。腫瘍は一般的に外科的に切除・摘出しますが病理検査により良性なのか、悪性なのかを判定します。
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Q:体の左側が膨らんできた

フトアゴヒゲトカゲの体側に腫瘍ができることが多々あるようです。
この症例の腫瘍は筋肉組織にできる悪性腫瘍でした。
摘出して皮膚の治りも問題ないのですが、悪性という性質上しばらくすると必ず再発など全身的ダメージがきますので飼い主さんの考え方を重視して対応しております。



・ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー=レオパ)

 

1.脱皮不全
脱皮不全は脱皮する場所のどこでも起こる可能性があるのですが、尾先や指先など細い場所に多発しやすく指先に起こることが特に多いです。

CASE1
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Q:脱皮するんだけど、指先だけいつもきれいに剥けずに残っている

脱脱皮片が残って長期そのままにしておくと血流が滞ってしまい壊死することがあります。

CASE2
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Q:指先に脱皮片がずっとついていて、ゴワゴワのグローブをつけた手のようになった

脱皮片が長期そのままにしており、何回かの脱皮の分の古い皮膚が多量に重なり強固に付着したままになっていた症例です。
手で何かを掴む時にズルっと一機にズル剥けてしまうこともあります。長期において脱皮片が付着したままにしていると、このよう指先は既に壊死している場合もあり骨が露出し指が脱落することがあります。壊死した指先は再生しません。
脱皮不全は乾燥によることが考えられているため、飼育環境の湿度が保てるように工夫することが大切です。

2.代謝性骨疾患 クル病
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Q:足の関節に白い球のような膨らみがいくつも出てきた

栄養性疾患の一つでカルシウム(Ca)不足から骨に異常がくるものもあり、骨よりCaが溶出してしまい骨の軟化や変形、四肢の節々が球状に腫脹することがあります。軽度の場合はCaの補給とビタミンD₃の合成を促進する有効紫外線の照射のできる設備の見直しなど飼育状況で症状が改善することもありますが、重度の場合は改善は困難です。

3.目の疾患
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Q:目が開かない、瞼が腫れている

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処置前

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処置後
眼瞼の内側(眼球と眼瞼のすき間)に大きな膿の塊が形成されることで眼球が奥に押し込まれるように入り込んでいる場合があります。そのため目は閉じていても腫れあがっているように見えます。何等かの原因で眼瞼の中で細菌が繁殖してしまい眼球と瞼のすき間に膿が溜まり、それがまるで眼球を保護するように大きく覆い被さりゴムのような硬さの塊を形成してしまいます。一度の処置では摘出できない場合もありますが適切に治療をすることで摘出できるチャンスがあるので、そのタイミングで摘出します。その異物を摘出した際に眼球にも異常があると回復は難しくなりますが、眼球に問題が起きてなければ膿の塊で眼球は奥の方に入り込んでいただけなので膿の塊を摘出したことにより眼球は元の位置に戻り完治します。

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摘出した膿の塊 眼球の外側:眼瞼を開けて見えていた部分

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摘出した膿の塊 眼球側:眼球にくっついていた形のまま丸く凹んでいます

4.へミペニス嚢のプラグ(栓子)形成
CASE1
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Q:お尻から赤い物が出ていて飴のような物もついてる。糞があまり出ない。鳴くようになった。

フトアゴヒゲトカゲの項で説明したようにオスではヘミペニスのプラグ(栓子)が形成されてくっついていることがあります。本来体内に入っているヘミペニスにプラグが強くくっついてしまっており、ヘミペニスが一緒に露出している状態です。ヘミペニスは本来の位置である体内に戻ろうとしているのにプラグが付着していることが原因で引っかかってしまい体内に引き込めずプレッシャーがかかり炎症を起こしています。外してあげると露出部は元の位置に戻り再生します。処置後は内服薬の治療が必要な場合もあります。

※レオパが鳴くという事が異常ではありません。もともとレオパは鳴くことができます。
主には『威嚇の時、変な持ち方をした時、急に捕まえられた時、ビックリした時、餌に興奮した時、どこか痛い時、性的アピールの時、治療の時、何もないけど日頃からよく鳴く』などなどいろいろな状況で鳴くようです。これも個体差があります。嬉しい時には鳴くのかどうかは?分かりませんが、鳴く生き物なので喜びでも声が出るのかもしれません。
シャーシャーorフーフーとか息を吹き出すような場合は威嚇音です。『鳴く=声を出す』というのは、威嚇音とは違っていろんな声を出して鳴きます。
鳴かないレオパは何があってもなかなか鳴かないようですが、そういうレオパでも人が見ている前では声を出さないだけで、実は見てない時には鳴いているかもしれません。小さい時からちょこちょこ声を出すというレオパもいるので、一概には鳴くから調子が悪いというわけではありません。ただ、滅多に鳴くことがなかったレオパが飼育ケース内で急に鳴くようになった場合、どんな時に鳴くのか?例えば:『糞をするなど排泄の時。体をよじって、なめにくい所をなめようとしている時。餌を食べた後。水を飲んだ後。歩いた後。首を持ち上げた時』などなど。普通はこんな事では鳴かなかったのに、なぜ?と考えることも大切です。何らかの異変で鳴くこともあるという事を知っていれば、体調の異変の気づくことになるかもしれません。飼育しているレオパがどういう個体であるか?をよく把握してください。

CASE2
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Q:お尻がどんどん膨らんできて皮もめくれてきた 糞も小さくなった

へミペニス嚢が大きく腫脹し炎症を起こしている症例です。プラグが長い経過で溜まってしまいヘミペニス嚢が大きく球状に腫脹すると歩行時に床面に引きずり擦れてしまうため、ヘミペニス嚢の皮膚もズル剥けてしまいます。このままでは排泄も困難であり刺激を感じる度に痛みで鳴く時もあります。
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左右共に約13㎜の球状にまで大きくなってしまったヘミペニスのプラグでした。摘出後はまだ炎症が酷いため内服薬が必要ですが徐々に治ってきます。



・ニシアフリカトカゲモドキ

 

1.削痩
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Q:尻尾が細くなり、あばら骨が出てきた

栄養状態が悪く極度に全身的に削痩しています。危険度の高い状態です。きちんと食べているのか?食べたように見えても後で吐き出していないか?などを確認することはもちろんのこと、レオパなどこれらの生き物では尾の太さが栄養状態の目安にもなりますので状態の良い体形の時に写真撮影するなど記録をして体形の比較していくことで変化をみつけ前兆を知るきっかけにしてください。

2.目の疾患
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Q:目が開かない。瞼が腫れてきた

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開けてみると目の表面が白くなっており、適切に内部を確認しながら目に覆い被さっている物を摘出していくと大きな白い物質が出てきます。
これも「ヒョウモントカゲモドキの目の疾患」の項あるように何等かの原因で眼瞼の中で細菌が繁殖してしまい眼球と瞼のすき間に膿が溜まった結果、その膿がまるで眼球を保護するように大きく覆い被さりゴムのような硬さの塊を形成してしまいます。

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眼球の外側:目を開いた時に見えていた白い部分。膨らんでいます

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眼球側:眼球がくっついていたように丸く凹んでいます

「ヒョウモントカゲモドキの目の疾患」の項と同じで眼瞼内に膿が溜まってしまい、その膿が眼球を覆うようにゴム状に固まっています。



・内部寄生虫疾患

 

トカゲ類もお腹の中に寄生虫が入り体調不良になることがあります。検便を行うことで寄生虫に感染しているかどうかが分かります。いろいろな寄生虫症がありますが、中でもギョウ虫やコクシジウムの感染が多くこれらは消化器に寄生します。食欲不振、体重減少、下痢などの症状がみられるようになり、食べているのに痩せてきたり死亡することもあります。一見健康にみえる個体でも寄生虫が感染していることもありますので、元気なうちに健康診断の一つとして検便をしてください。

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フェレット

  ・フェレットの歯石

 フェレットの歯も人や他の動物達と同様歯石が付きます。
特に臼歯(奥歯)に付きやすく、オーナーの皆様はとても可愛がっていらっしゃるので口の中までいつも見ていて歯に黄色、茶色、灰色など色 がついている事に気づくいて来院されるオーナーさんが多く「幸いまだ歯石除去をしなくてもいいよ。」という結果もあります。ただ中には重 症例もあり「なんか最近臭いと思ったら口だった。」「フードを食べる時すごく食べ難そうに顔を曲げて食べるのに直ぐ止めて、アグアグして からまた食べるんですよ。フードもボロボロ砕き落として、それを何回でも繰り返すんですよ。」などで来院される事もあります。

  重症例をそのまま放置しておくと、歯肉炎など歯周病になります。歯石除去すると出血して腫脹したすごい歯肉が出てきます。本来なら歯石除 去は機械できれいに落とすだけで終わるのですが、重症例では歯肉炎の治療も引き続きやってあげなくてはなりません。

CASE1  軽症例
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befor
臼歯、犬歯に変な色がついています。
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after
処置後はきれいに真っ白になりました。


CASE2  中症例
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befor
臼歯、犬歯の根元、上下の歯の裏側が黄色っぽく色がついています。

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after
歯石除去をして、真っ白な歯が出てきました。歯肉が少し赤くなっている所がありますが、これくらいなら投薬もなく自然に治っていきます。 きれいになって良かった!良かった!


CASE3  重症例
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befor
この歯石の付き方はすごいです。重症例の一例です。
これほどまでに歯石がついてしまうと歯肉にも覆いかぶさり、出血もしています。離れていても臭います。痛みを伴いフードをしっかり食べる 事ができません。

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after
歯石除去の処置をしたら、歯石でコテコテになっていた臼歯自体は意外にきれいでした。虫歯にもなっていません。歯肉は腫脹し出血もありま す。下犬歯の汚れは汚れ色素の沈着がひどくきれいにしてあげることができませんでした。
このような重症例では、歯肉炎の治療も行うことになります。


全身麻酔は必要です。
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歯石除去をするにあたって全身麻酔を必ずかけます。口の中の処置になりますので吸入麻酔では不都合なため注射麻酔で行います。よって麻酔 リスクをみるために事前に血液検査を実施しております。この血液検査で問題となるリスクがない方のみ実施予定を組むことになります。生体 モニターもつけて身体的な変化を気にしながら進めていきます。入院はいりません。日帰り処置となります。
 血液検査はオーナーさんによっては年2回定期健診の一つとして希望される方もいらっしゃいます。思いがけない体の不調を事前に発見でき るきっかけにもなりますので是非この検査も受けてください。尚、血液検査に関しては麻酔をかけることもなく、普通に診察に来院していただ き実施します。当院の血液検査機器で結果を出します。ただ結果をご報告するまでに40分ほどかかりますので、一度フェレットと帰宅して後 日結果だけを聞きにこられるオーナーさんも多いです。
上記の3例のように、歯石の付き方も軽症、中症、重症まで様々です。歯石は歯周病の原因になります。食べたいフードが目の前にあっても、 歯や歯茎が痛いなどの理由で食べれないのかもしれません。そして、だんだん食べれなくって弱ってきた体は歯周病から細菌が体の中に入った 時に二次的な病気になりやすくいので注意が必要です。人の歯磨き粉のCMでも歯周病の怖さをやってますね。フェレットでも同じように注意 が必要です。早期発見!早期治療が望ましいです。
口の中も気にしましょう。歯やその周囲を見て下さい。

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ハムスター

  ・ハムスターの外科的 治療(手術)

 ジャンガリアンハムスターも外科的治療(手術)を行う事もあります。

CASE1
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befor
右側の一番上の乳頭に腫瘤(しこり)がある事をオーナーさんが気づきました。 “腫瘤”というと難しく感じるかもしれませんので以下“しこり”と書きます。

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10mmくらいの球状の“しこり”の切除手術です。

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摘出した物質

切除した“しこり”はきれいに球状の形をしていたのですが、その球の中は中心が赤い物質で、その周りは液体でした。この写真の左側の染みがその液体が出た円形の染みです。 右側の赤い物質がしこりの本体です。この赤い物質が腫瘍なのか?そして、腫瘍の場合は良性or悪性どちらか?を診断するためには病理専門の検査機関に検査を依頼します。

手術後の状態
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after
手術が終わって落ち着くと、このように何事もなかったようにエサを食べるハムスターが多いです。


CASE2
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befor
左側一番上の乳頭に“しこり”ができています。手術で取ってあげることになりました。 摘出した“しこり”です。約13mmの球状腫瘤

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乳腺付近にできたしこりの手術は本来、乳腺腫瘍(良性も悪性もあります)が多く再発の確率も考えると乳腺全体を切除する方が望ましいです。動 物では人のように乳頭が左右1個ずつの2個1対とは限らず(モルモットは1対です)、上から下までずらっと乳頭が並んで左右合わせて6~8個 3~4対、中にはもっとたくさんの乳頭がある動物もいます。乳頭がいくつかある場合、同時に何ヶ所も“しこり”が見つかることも多く乳腺腫瘍 の再発を抑える方法の一つには片側一列、もしくは左右両方を数回に分けてまたは一度に全部切除します。

ハムスターの場合は乳頭が約6個(多少の数のズレはあります)あるのですが、どこか1ヵ所だけおかしい事が多く、その場合においても全部切除 する事が望ましいのかもしれませんが、当院ではハムスターの乳腺全部の切除はしていません。全部の切除をした場合は当然大きな切開となりま す。グルーミング(毛づくろい)が大好きな動物であることから、その傷を治す間もせっせとグルーミングをする事を考えると傷の治りが遅くなる ことが予想されていますので早期完治させるに難しくなる事。それと、このように1ヵ所だけ切除した場合でもハムスターでは再発がみられる確率 も低い事。それらの考え方によってまずは悪い所だけを切除するようにしています。これらの考え方は当院での経験です。


手術後の状態
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after
手術が終わるとこのハムスターもケロッとしていました。
「先生、痛くないんですか?」とよく聞かれます。よくあるこの質問には毎度困ってしまいます。
「人だったら麻酔が覚めたら絶対痛い!たまらんぞ!痛くて!痛くて!と思うので動物はどうなんでしょう?私も知りたいです。」人では小さな処置でもその後痛みを抑えるよう に鎮痛薬でコントロールをする事が多いと思います。処置の大きさや場所にもよりますが、動物はどれほどの痛みを感じているのか?または我慢で きるくらいの痛みなのか?どうか?わかり難いですが、このような感じでへっちゃらなように見える事も多いです。ここでは個人個人が見てその見 え方や考え方は違いますので、あえてコメントを控えさせていただきます。
動物でもあまりに痛みを伴う場合には程度によりますが、その痛みを抑える=ペインコントロールをする事もあります。動物は人のように「痛いから無理をせず静かにしておこ う」とか、「痛い所を触るとより大変になる事があるから触らないように!」という注意事項を聞くわけでもなく、自分でセーブする事もない場合 も多いので、このペインコントロールについては考え方もありますが少し痛みがある方がじっとしていておとなしくて、その方が都合が良い場合も あります。もちろんペインコントロールが必要な場合もあるのでその必要性はその時その時考えて行っております。


抜糸した縫合糸
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小さな体には極細の縫合糸を極小針で縫合してます。傷口の治り方によりますが、抜糸は2回に分けることがあります。今回のハムスターでは10 針縫合しました。抜糸は2回に分けました。この写真は1回目の抜糸時の半分の5ヵ所を抜糸した糸です。


術後検診
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全部の縫合糸を抜糸して約10日後に検診で来院してくれました。 毎日せわしく運動し、よく食べるとの事。 体重も落ちることなく体調は良好のようです。
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手術した場所は傷もなく毛もだいぶ生えてきました。この様子ならもう少しで毛が生えそろい手術痕もほとんどわかり難くなります。


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オーナーさんの手の中で得意気なカメラ目線のパールホワイトのジャンガリアンハムスターでした。

小さいけど、よく頑張りました。



ハムスターは“しこり”が見つかる事が多い動物です。オーナーの皆さんにも発見しやすい表層にできるものだけ でも“顔、耳、首、脇の下、胸、腹、腰、尻、股、手足の裏”とあらゆる場所で目にします。すべての“しこり”が腫瘍というわけではなく、中に 膿をたくさんためた膿瘍も多く見つかります。腫瘍は年齢と体力を考慮してあれば外科的治療が望まれますが、膿瘍の場合は外科的治療だけでなく 内科的治療(内服薬の投薬治療)を十分考えられます。そしてその“しこり”が腫瘍であった場合は良性or悪性(ガン)共にみられます。良性 or悪性の診断は採取又は摘出物を病理検査とういう専門の検査を受けなければできません。当院では外注で検査を依頼しています。
 今回の上記2症例は病理専門の検査機関の結果で共に腫瘍であり、その腫瘍は良性であった事が診断されました。良性でも悪性に変化することも あるので外科的治療で良かったのではないかと考えれます。きれいに取り切れているという事もあり術後は良好でした。


ハムスターの手術というテーマで書いたのですが、オーナーさんにとってそしてハムスターにとっても一大事です。多くの病気は内科的治療で良く なります。しかし内科的治療をやっても症状が改善しないなど、手術が適している場合もあります。

すべての症例に手術が適用できるわけではありませんが、“しこり”は外科的処置が望ましい事が多いです。体が小さなジャンガリアンハムスター (体重50g前後)でも、条件さえ整えばある程度の手術には普通に耐えられるという事をお伝えしたく症例として出しました。もともと寿命が短 い動物なので、病気が発症するとその進行のスピードはすさまじいほど早いです。手術を受けるには体力がいります。クタクタにならないうちに実 施しなければなりません。迷うのもわかります。でも迷っていて日時が経過し結局は手術を望んでもリスクが高くなりできなくなることもありま す。そして、いざ覚悟して手術をしたとしても手術に耐えれない事や術後が不良で死亡する事もあります。手術が最善の治療法となった症例に遭遇 した時は、「やるのか、やりたくないのか」はオーナーさんが決めるしかないわけです。向き合ってあげてください。

一個体で4回手術をして3年間も生存できたジャンガリアンハムスターもいます。病理検査で再発する腫瘍であることも診断され再発を繰り返し手 術をしなくてすむなら、なるべくしない方法で間隔を考え、行動や生活の上で不自由がみられ、やらざるを得ない状態になった時に手術をしていき ました。このハムスターはオーナーさんと頑張った結果、よくある寿命より長生きできました。すごいことです。早期発見!早期治療は大事な事だ と思わせてくださいました。結果が良いから言える事でもありますが、このように頑張るオーナーさんとハムスターもいますよ。という事でご理解 ください。


当院では、決して無理やり手術をすすめるわけではありません。手術が適応症例であるかどうかは判断した上、オーナーさんの考え方を重視いたし ますので、話し合って決めていきましょう。

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ウサギ


・ウサギのコート チェンジ

 季節の変わり目では、いろんな動物で換毛期がありコートチェンジ(毛の抜け変わり)がみられます。動物種や個体ごとにその方法や時期 に違いがあり、2月頃から抜け始めている場合もありますし、はっきり換わっていくのではなくダラダラと長期間にわたる事もあります。

今回はこのウサギでコートチェンジを見てみましょう。

 
体側と背中側に変なラインが入ってます。これが、古い毛の所と新しい毛に変わっている所の境目です。


 ピックアップしてみると地図のような面白い模様にも見えますね。これだけ、はっきりしていれば、抜け替わっていく様子が分かり易いです。
※全てがこういう境目が出るわけでもありません。まだらになる場合もあったり、なんとなくいらない毛が浮いているようになるなど千差万別で す。今回は分かり易いタイプとしてご紹介しております。

では、お腹側も見てみましょう。

オーッと、背中とは違う??? 白いし、モサモサの毛で分かりにくい!
パッと見ると分かりにくいですが、よく見るとやはりはっきり分かってきます。


 毛の抜け方にもいろいろなタイプがありますので、毎日お世話をする時に毛の様子も改めて観察してください。境目があるようなら、どっちが今 から抜けるのか?新しい毛か?分かるとより良いです。そして、ブラッシングするなどしてコートチェンジがスムーズにいくように手伝ってあげて ください。


 動物たちはコートチェンジの時期になると遊んでいる間、走っているなど行動している間にもいらない毛は抜け落ちていきます。でも、これに よって換わっていく毛はわずかです。
ほとんどが、自分でなめてグルーミングという行動で、いらなくなった毛を抜こうとします。自然な行動なんですが、あまりにたくさんそのグルー ミングをやっていると、胃の中も毛だらけになります。これが、胃内毛球症の原因になります。
 たくさんの毛を口に入れてしまうと、胃の中に毛球ができて胃の出口が詰まったり、消化しようとして、無理やり腸の方に行ったとしても、やは り詰まってしまう事があります。消化器にガスが溜まり、食欲がなくなります。そのままだと痩せてしまいひどくなると死亡してしまう怖い症状で す。


 いろんな動物で起き得る症状ですが、イヌ、特にネコは毛球を吐き出したなんて気づくオーナーさんも多いようです。毛球というより、フェルト 状になった毛の固まりでソーセージのような形に見える事もあります。
 でも、ウサギは吐く事のできない動物ですから、吐き戻しができず詰まったら特に重症になり易いです。手術で、消化器の中から詰まっている毛 球を取り除かなければならない事もありますので、そうならないように日頃から気をつける事が大切です。


 先ずは糞の観察をしてみましょう。
普段の糞は丸くてコロコロしていると思います。
 それが、毛で繋がっている。大きさが小さくなったり大きくなったりバラバラ。糞の形が○ではなく、涙みたいな形になった。糞の量が減った。 とにかく変。などなど、まだ他にも変化がありますが、糞の状態だけでもこのように変化があります。オーナーさんはいつもと違うかも?何か変か も?と先ずは感じる事が大切です。

 健康診断を兼ねて一度病院で診てもらってください。糞(なるべく新鮮な糞)を持って検便をしてもらいましょう。その子その子にあった予防の 方法もありますので、来院時に相談ください。

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  ・ウサギの足と低温 火傷

 足(四肢)の裏には豊富な毛が生えています。ケガをしたり、擦れたりすると脱毛してその炎症が進行します。それを気にすると舐めてし まい更に悪化させてしまう事があります。動物はケガをしても自分でなめて治すというようにも思われがちですが、まずダメですね。悪化させ ていく方が多いです。四肢の炎症は進行すると足底皮膚炎、潰瘍性皮膚炎となりソアホックとも呼ばれています。  原因は多様で環境(衛生面、床材、ケージの状態)、肥満、外傷、低温火傷、加齢による被毛が薄い事、強いスタンピング癖などが考えられ ます。

 今回はその多くの原因の中で毎年冬に増えてくる低温火傷の事を説明します。急に寒くなったということで、ペットヒーターを使ってからお かしくなったというオーナーさんからの報告があります。決してペットヒーターが悪いというわけではありませんが、使い方には注意が必要な 場合があります。ウサギはケージなど狭い場所にいる間、同じ所でじっとしている時間が長い動物です。そして、床に接する面積も多いです。 そのため、ペットヒーター類をそのまま敷いていた場合、温度が低く感じられても、ずっと同じ位置に当てていると熱くなっていることに気づ いていないことがあります。この低い温度と感じて同じ位置が長時間接している時に低温火傷をすることがあります。低温火傷はすぐには起こ りません。オーナーさんはある時、足をよく舐める事に気づき足裏を見たら四肢全部が毛が薄くなり、真っ赤になっている事で気づく事が多い ようです。  低温火傷についてはペットヒーターの使用説明にも注意事項としてオーナーさんに注意を促しています。決して商品が悪いわけではありませ ん。その使用の方法や動物の状態(幼齢、老齢、体調不良)において問題が起きることがありますので、使用されているオーナーさんはいま一 度確認し、不都合があれば工夫をしてみてください。


CASE1
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befor
脱毛して足の裏が真っ赤になっていたと来院。(ペットヒーター使用して約10日)

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after
治療をすると前足はきれいに治り、後ろ足はあと少しで毛で埋まる状態。
治れば気にせず舐める事もなく、以前のように飛び跳ねれるようになります


CASE2
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befor
ヒリヒリして痛そうな足になって来院 (ペットヒーター使用して約1週間)

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after
治療により毛も生えました。


〔足の裏には毛が生えています〕
四肢は全体に豊富な毛が生えています。現在、ペット用で一般的に飼育されているウサギはアナウサギを飼育しやすいペットとして改良したカ イウサギであり、野生のウサギ=ノウサギとは違うタイプの動物です。ウサギという全般的に言えば当然仲間でありますので、その共通点もあ るということとして、四肢に毛があるのもその一つです。足裏の毛の役割ですが、もともとはウサギは冬にも強い動物です。雪の中で走り回っ ても雪がべっちょりと付く事を防ぎ歩きやすくしている事や温度の軽減にも役に立っています。また犬猫のように硬いパット(肉球)がないた め、硬い物を踏んだりしても簡単にケガをしないような保護する役割もあります。自分の尿や糞などを踏んでしまうこともあり、それらの汚れ からも守る役割もあります。毛がフサフサ生えていることはとても大切な事です。そのため、家庭でフローリングの床で遊ばせた時に滑ってし まうからという理由や爪が切りにくいから見易くする理由で毛を切ってしまうことなどはやめましょう。足の裏にあれほどしっかり毛が生えた 動物種は少ないです。いかにその役割や重要性があるかを考えてみると足の裏の毛は大事だと考えられます。


今回は低温火傷による足裏の炎症の事で、あまりひどく見えないかもしれませんが、これでも完治には時間がかかります。
他の理由による事や重度症例では足裏が化膿して膿が出たり、足全体が腫脹することもあり、重度な足底皮膚炎や足底潰瘍となり難治症状です。

足の裏の毛を大切にしてください。

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