蚕の飼育

〜蚕の飼育は簡単に見えますが結構難しいものです。(特に大量飼育の場合は)〜

繭幼虫繭

                手に入れる

まず、蚕を手に入れましょう。初めての方は4令幼虫くらいからの飼育が簡単です。幼虫を配布及び販売している所は少ないのですが夏休みの企画などで販売している機関がたまにあります。
また、爬虫類などの餌としてシルクワームという名前で利用されているため「シルクワーム」で検索すると安く売っている場合があります。しかし餌用蚕は品種が分からないのでほかのところで手に入れたほうが良いのかもしれません。

ある程度、蚕の飼育に慣れてきたら卵から飼育しましょう。
蚕の卵はいろいろなところで配布されています。(あとで書きます)卵からの飼育が初めての場合は普通種がおススメです。原種は飼育がとても難しいので普通種で慣れましょう。

          人工飼料編

僕はよく人工飼料で飼育します。菌が繁殖するので触るときは素手ではなくビニール手袋をしたほうが良いです。僕が使っているのはソーセージのようなもので大体一本1000円くらいで購入できます。菌が付きやすいので注意しないと雑菌が繁殖してそれが蚕の口から入り病気が流行ったりする事もあります。
病気の発生を防ぐため過密にならないようにします。
人工飼料
こういうやつです。中は緑色です。慣れるまでは臭いです。

                     1令幼虫

孵化したばかりの幼虫を1令幼虫と呼びます。脱皮するごとに2令、3令と令を重ね、蚕の場合は普通5令まで育ちます。(品種により変わる場合があります)
1令〜3令はフタにたくさんあなを開けたタッパーがおススメです。僕は、はさみをブスっと刺して穴を開けていますが危険なのでほかの方法をおススメします。母がやったら血が出ました。(怖)
特に注意点はありません。蒸れやすいので時々換気をしたりしましょう。
フタをして飼育をする場合は換気する事が大切です。
  卵と1齢幼虫
 

                     2令幼虫

基本は1令と同じです。少し大きくなるので掃除をします。
 

                     3令幼虫

このころから病気が流行りやすくなります。湿度が高くなりすぎると病気が流行ります。換気をしっかりしましょう。フンの掃除は1日おきくらいにします。
 

                     4令幼虫

飼育するものを大きめの箱などに変えます。蚕は脱走しない生き物とされていますが実際はそんなことはありません。網などをかぶせて脱走を防ぎましょう。このころから体が大きくなり成長したことを実感します。
             4齢幼虫

                     5令幼虫

最後の令です。それぞれ品種の模様や形がはっきりする時期です。
だいたい7日くらいで繭を作ります。

       5齢幼虫5齢幼虫

                     眠について

蚕は脱皮する前に動かなくなります。(眠と言う)成長が揃うようにするためすべての幼虫の眠が終了するまで餌を与えないでください。
 

                     繭

繭は品種にもよりますが14日くらいで蛾が出てきます。
     カラー繭普通の繭
 

                     蛾

掛け合わせは1998年まで法律で禁止されていました。微粒子病という病気が流行るからです。次の世代を卵から育てる事はすごく良い事だと思います。ただ掛け合わせをした卵には責任を持ってください。もちろん掛け合わせは違法ではないので実験などのために掛けあわせをするのは良い事です。
    成虫

          桑編

基本は人工飼料と同じです。農薬がかかっている可能性があるので良く洗いきれいなタオルなどでよく拭いてから与えましょう。
 桑
   (↑桑畑の桑)

          応用編

1〜3令までは人工飼料で4〜5令は桑で育てる方法。効率的な飼育法ですがそれなりに慣れていないと出来ません。
 

      病気について

蚕の病気にはいろいろなものがあります。飼育失敗のほとんどの原因は病気です。

          微粒子病

いちばん恐ろしい病気である。蛾(つまり親)から卵へ伝染する。感染すると胚子で死んでしまうこともあります。病原体は口から入るようです。
配布される卵の親は微粒子病の検査をしています。

          伝染性軟化病

伝染性なので流行ったら蚕たちを処分しなければならない最悪な病気。最初は口などから入るらしく(たぶん)脱走した蚕がかかりやすい。感染した蚕はふにゃふにゃになって死にます。発見した場合はすぐに元気な蚕を隔離しそれでも死に続ける場合はすべて処分するしかありません。 

          核多角病

まだ家で感染した蚕はいません。ウイルスが口から蚕の体に入り。膿を流して死んでしまう病気です。

かかりやすい病気は以上です。ほかにカビ系の病気などさまざま。

          寄生虫について

蚕に寄生する主な寄生虫はカイコノウジバエとカイコノシラミダニです。
カイコノウジバエは桑の葉に卵を産み、その卵が蚕の体内に入ったとき孵化します。蚕が繭を作った後に繭を食いちぎって出てきます。(このとき蚕は死んでしまう)似たような性質を持つ蚕にブランコヤドリバエなどのハエ類がいますがブランコは卵を直接体に産みつけるので蚕ではほとんど発生しません。寄生バエはクワコを採集してくるとよく出てきます。

カイコノシラミダニは蚕に寄生して体液を吸います。
蚕は死んでしまいます。人間にも寄生します。
 

      野蚕など

僕は野蚕(ヤママユ類など)やその他鱗翅目の昆虫も飼育しています。

野蚕の飼育はかなり難しいのですが水差し飼育という方法で飼育できます。
ペットボトルに食草を刺し(もちろん枝ごと)落下防止のためにティッシュをつめるというシンプルな方法です。フンが落ちるので下に何かを敷いておくと良いです。

      蚕を手に入れる方法

群馬県蚕業試験場
 よく蚕を分けていただく所。原種の卵も分けてくださいます。群馬県オリジナル蚕品種がおススメ。

上田蚕種
 「繭ちゃんセット」が良いと思います。餌と飼育記録用紙と卵がはいって3500円(たしか)です。
 値上げしてました。 4200円です。 少し前までは2000円だったのになぜか高くなっていました。初めての方にもおススメです。
 人工飼料も販売しています。販売している品種は錦秋 鐘 和のみです。 ほかの品種もすこしあるようです。
 卵のみの販売もしています。電話で問い合わせてから注文します。
 電話 0268-22-3585

シルク博物館
 卵を注文して直接取りに行きます。春にしか配布していません。錦 秋 鐘 和のみ

九州大学大学院農学研究院
 HPが複雑なので初めての方にはおススメできません。研究者用に配布している所です。
 保存されている遺伝資源(蚕)を何に使うのか詳しく電話でお話してそれから卵をいただきましょう。
 最近は遺伝資源を外国に売ったりしてお金もうけをする悪質な犯行があるそうです。
 普通の蚕(珍しい種ではなく農家で飼育しているような種類)ならばどんな方でも分けて頂けるそうです。
 一年中配布しておられます

農業生物資源ジーンバンク
 ココも上と同じような機関です。しかし季節が限られます。
 分からないことがありましたらメールか掲示板でお気軽にご質問ください。

野蚕の飼育についてはこちらに書いておきました。

  2006年9月(11月変更)