Chaki・Full Acoustic Guitar



品番、製造年などは不明。

名古屋市在住の友人から無償で譲り受けた。

その後、ピックアップを付け替える。

ピックアップは本来二つ付けるのがいいという。

それは、蛍光灯がたいてい2本組みになっているのと

似たような理由かららしい。

少しノイズがでるのもピックアップがひとつのせいだという。

本来はエレキ用の弦を張って使用するのがいいらしいが、

なんだか頼りない感じがして、ついアコギの弦を張る。

カッタウェイになっている。

その辺りを弾くことはまずないんだけど。




このギターの元々の持ち主は、旧知のK氏である。

K氏もまたこのギターを誰かから託されたのだという。

K氏と僕とはある時期よくつるんで、ライヴをした。

二人とも、まだまだほんの駆け出しの頃のことだ。

ある時こんなことがあった。

その日、二人は野外ステージに立っていた。

聴衆はまばらである。

ほとんどリハらしいリハもせずステージに立った僕らは、

そこで初めて自分たちの出している音が全く聞こえないことに気づく。

僕は演奏ができないと思った。

K氏は早くやれ、と眼で促した。

ステージにあがる前には二人のうちどちらが沢山唄うか、

というちょっとした綱引きがある。

そんなことをして手に入れたスペースを僕は放棄した。

全部K氏が唄った。

彼はいつものように唄った。

実に堂々としたパフォーマンスだった。

僕はどこにいても隠れようがないのに、

ステージ上で誰にも見られていないかのように振る舞った。

K氏は何もいわなかった。



二人のユニット名は、ホット・タイフーン・セッション・バンドといった。

その時、K氏が弾いていたのが、このギターだ。