●根本的な部分へのアプローチ(サッカーの練習だけでは変わらないこと)

私たちは、日本のサッカーを強くするために、子どもたちに何をどのように教えていったらい

いのかをずっと考えてきました。

初めのうちは、サッカーのプレー自体のことばかりに目を向けてきました。どういうプレーを、

どういうふうにトレーニングしていったらいいのだろうか。そういうことを中心に考えてきました。

しかし、最近になって、「判断」が足りないことに気づきました。日本の選手は言われたこ

とを言われたとおりにやることには非常に優れていますが、とっさのとき、状況が変わった

ときに、自分自身で的確な判断を下して行動することが苦手です。

サッカーは広いピッチで11人の味方が協力し合って11人の相手に対し、1つのボールを

めぐってプレーするスポーツです。しかもボールを足で扱うものなので、手を使うほど正確

にはいかず、さまざまな状況が起こります。いつもコーチが指示したとおりのことばかりが

起こるわけではありませんし、仲間と相談しながらやれるわけでもありません。そんな中で、

いつも自分自身で状況を把握して、最善と思う判断をし、それに基づいて行動をしなく

てはならないのです。決められたとおり、指示されたとおり、言われたとおり、だけでは、

とても対応しきれないのです。

自分で判断をする。その判断に責任を持つ。そしてみんなで協力して状況を解決してい

くために、自分の考えたことを相手に伝える。当たり前のようで、なかなかできていないこ

とです。

私たちは、子どもたちの自立を促したいと思っています。しかしそれは、ピッチ上、すなわち

サッカーの試合やトレーニングの場の中だけで心がけていても決して身についていかない

ことです。サッカーの場だけ、コーチに言われたときだけ、では、決して真の自立にはいた

りません。学校や家庭、みなさんの協力が不可欠です。

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