| | 私たちは、日本のサッカーを強くするために、子どもたちに何をどのように教えていったらい
いのかをずっと考えてきました。
初めのうちは、サッカーのプレー自体のことばかりに目を向けてきました。どういうプレーを、
どういうふうにトレーニングしていったらいいのだろうか。そういうことを中心に考えてきました。
しかし、最近になって、「判断」が足りないことに気づきました。日本の選手は言われたこ
とを言われたとおりにやることには非常に優れていますが、とっさのとき、状況が変わった
ときに、自分自身で的確な判断を下して行動することが苦手です。
サッカーは広いピッチで11人の味方が協力し合って11人の相手に対し、1つのボールを
めぐってプレーするスポーツです。しかもボールを足で扱うものなので、手を使うほど正確
にはいかず、さまざまな状況が起こります。いつもコーチが指示したとおりのことばかりが
起こるわけではありませんし、仲間と相談しながらやれるわけでもありません。そんな中で、
いつも自分自身で状況を把握して、最善と思う判断をし、それに基づいて行動をしなく
てはならないのです。決められたとおり、指示されたとおり、言われたとおり、だけでは、
とても対応しきれないのです。
自分で判断をする。その判断に責任を持つ。そしてみんなで協力して状況を解決してい
くために、自分の考えたことを相手に伝える。当たり前のようで、なかなかできていないこ
とです。
私たちは、子どもたちの自立を促したいと思っています。しかしそれは、ピッチ上、すなわち
サッカーの試合やトレーニングの場の中だけで心がけていても決して身についていかない
ことです。サッカーの場だけ、コーチに言われたときだけ、では、決して真の自立にはいた
りません。学校や家庭、みなさんの協力が不可欠です。
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