| | 子どもたちはプロ選手になったような気持ちでプレーします。あこがれの選手のプレーを
まねします。一人ひとりがみんなスター選手です。
でも、子どもは小さな大人ではありません。8人でやったり4人でやったり、ボールを2〜3
個使って大勢でやることもあります。ルールもできるだけ簡単にそしてゆるやかに適用し
ます。1個のボールを競うときに多少の身体接触は避けられません。
ときには足をけったり、引っかけたりすることもあります。意図的な乱暴なプレーはいけま
せんが、必死にボールを追いかける中でのアクシデントに対しては、反則にするのでは
なくできるだけプレーを続けさせたいと考えています。子どもたちも意外に平気です。転
んだらすぐに起き上がるし、少しぐらい痛くても絶対にボールを取られないぞと気迫を見
せてくれます。そんな姿を大切にしたいと考えています。
6歳以下の子どもたちのゲームを観てみてください。目をきらきらと輝かせながらボール
を見つめています。彼らにはボールしか目に入っていないようです。味方も相手も関係
なく自分とボールだけの世界でゴールを目指します。1個のボールに何人もの子どもた
ちが集まってきます。私たちはそれで良いと考えています。そんな状況をこの年代でたく
さん経験させたいのです。そして少しずつ仲間との関係でプレーをすることを学んでい
けるように指導しようとしています。
小さいときからサッカーだけプレーしていれば良いかといえばそれは「NO」だと考えていま
す。9歳から12歳ごろを私たちはゴールデンエイジ(黄金の年代)と呼んでいます。いろ
いろな運動技能が比較的簡単に習得でき、サッカーのあらゆる技能を身につける絶
好の年代なのです。しかし、そのためには前提として、その年代になるまでに豊富で多
様な運動経験が必要なのです。そのためにはサッカーだけではとても足りません。ボー
ルを投げたり捕ったりすることも大切です。全身で力を出すようなことも必要です。また
鉄棒や縄跳びなどでいろいろな技に挑戦する機会をもつことも有効です。小学校の
低学年からサッカーだけに偏ることなく多くの運動に接するチャンスをぜひつくってくだ
さい。
日本サッカー協会では6歳から16歳までの指導のガイドラインを2歳刻みで提示してい
ます。それぞれの年代で与え、克服していかなければならない課題を示しています。
それは一人ひとりの選手が大人になったときにできるだけすばらしく成長してほしいとい
う長期的視野に立って考えられています。それぞれの年代に応じたサッカーの経験が、
最後に大きく花開くことになることを理解し、子どものサッカーを見守り成長を楽しんで
ください。
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