朝鮮時代最古の小説「금오신화(金鰲新話)を読む

남염부주지(南炎浮洲志)

   

금오신화(金鰲新話)第四話は、「남염부주지」(南炎浮洲志)という。この小説は、第五話の 「용궁부연록」(龍宮赴宴錄)と共に、금오신화(金鰲新話)の中では、몽유(夢遊)小説の一つである。
この小説の主人公박생(朴生)は、現実から夢の世界に入り、そこで염부주왕(炎浮洲王)に会い、対話を通じて、自分の考えを述べていく。その後、再び現実の世界に戻ると、間もなく死んで、염부주왕(炎浮洲王)になる、という設定である。
もちろん금오신화(金鰲新話)の他の小説と同じく漢文小説であり、朝鮮時代前期の作品である。

경주(慶州)に住む박생(朴生)は、儒学を熱心に勉強していたが、科挙の試験に合格したことはなかった。 性格は、意志が強く、やや傲慢なところもあったが、誠実で村の人々の賞賛を得ていた。
彼は、불교(仏教)、무격(巫覡)、귀신(鬼神)などの異端に陥らないようにと、儒教の経典をたくさん読み、やがて、世の中の”理”は、一つだけだ、という哲学的論文「일리론」(一理論)を書き、自分の考えを、しっかりとまとめた。

ある日、박생(朴生)は夢を見た。突然、海の中の一つの島に連れて行かれる。そこは、昼間は灼熱の炎が燃え、夜は厳寒の風が吹く、「炎浮洲」(염부주)という別世界である。
박생(朴生)は、ここで、王宮に行き、염라대왕(閻羅大王/閻魔大王)に会う。
박생(朴生)は、염라대왕(閻羅大王/閻魔大王)と、유교(儒教) · 불교(仏教) · 미신(迷信) · 우주(宇宙) · 정치(政治)など多岐にわたる思想的問答を行った。
その結果、박생(朴生)の考えは、염라대왕(閻羅大王/閻魔大王)と一致することを認識し、自分の知識が妥当であることを再確認した。
そして、염라대왕(閻羅大王/閻魔大王)は、박생(朴生)の能力を大いに認め、王位を譲る、と言い、선위문(禪位文)を認めた。
박생(朴生)は、一旦、俗世に戻る、と言って、王宮を後にした。

帰りの車が王宮の門をでるとき、車をひくものが、躓いて、車がひっくり返ってしまった。박생(朴生)は、そこで倒れて、びっくりして目が覚めた。ひとときの夢であった。
박생(朴生)は、家の中、身の周りを始末して整理した。
すると、数か月して박생(朴生)は病の床に伏してしまい、そのまま起き上がることなく、死んでしまった。
ちょうどそのとき、神人が現れて、「彼は、염라대왕(閻羅大王/閻魔大王)になるだろう」と近隣の人々に言った。