韓国の若い女性たち

結婚観

   

韓国の男性たちは、「弱い女性を守る」という愛・結婚意識が強い、と言う。時代錯誤もはなはだしい滑稽な観念である。
単に、女性を家庭内で従属させたいという欲求にほかならないのでなかろうか。
そもそも、男性によって、守られたい、と考えている女性が、いったい、どれほどいることだろうか。
近年、韓国女性の男女に対する意識は、著しく変化してきた。
それには、いくつかの理由が考えられる。
まず第一に、「自由」の獲得である。あらゆることから解放されて、自分の意志に基いて、自由にふるまうことの幸福感を知ったからである。他の束縛から解き放たれて、広野を思う存分駆け巡る喜びを知ったからである。
第二に、経済的な「自立」である。自分のやりたいことをやりながら、経済的な収入を得て、それによって、自分の力で生活していく力を得たからである。
自分で稼いだお金を、自分がやりたいことに、再投資する喜びを知ったからである。
第三に「性の開放」をあげることができる。結婚という形態をとらなくても、自分の意志で、性を謳歌する喜びを知ったからである。
男性と同等の性の自由を意識して行動することができるようになったからである。

今でも、韓国の男性は、恋愛に対して、横暴であるという。自分が、好きな女性に対して、他の男性が近寄るようなことがあれば、暴力的手段を講じてまでも、排除することさえある、という。
これが、その女性に対する愛の証であり、その女性を守る、ということだと錯覚している。
そこに、その女性の意志があろうと、なかろうと、身勝手なのである。
昔から、韓国には、「열 번 찍어 안 넘어가는 나무 없다」(10回切りつけて倒れない木はない)という諺がある。
韓国男性は、これぞ、と思った女性には、何回でもアタックする、そのうちに、必ず、落ちる、という意味である。
実に男性の身勝手な見本である。
一方の女性側は、自尊心から、まず1回目は断る、でも、2回、3回とアタックされたら、受け入れる、という人が多いそうだ。
もちろん、私を好きだと、というのなら、1回目に、受け入れる、という女性もいるそうだ。
これは、20代女性に対する韓国のあるアンケート調査の結果だそうである。
最近は、逆もあるらしい。つまり、女性が、好きな男性に対して、アタックする、というわけである。
それだけ、韓国女性は、自己を取り戻したのである。

最近、韓国に、「결혼은 해도 후회 안해도 후회」(結婚はしても後悔、しなくても後悔)という言葉があるそうだ。
今年、韓国KBSの放送で放映された番組中で、言われたギャグだそうであるが共感者が多いのではなかろうか。
ある調査によると、20~35才の独身女性のうち、46%が結婚に消極的であるそうだ。
大きな理由の一つは、パートナーである男性に対する理想が、非常に高いことがあるようだ。
女性たちは、自身が高学歴になり、男性に対して、人間的面でも、経済的面でも、より高い理想をもっている。カッコいいとか、イケメンだとか、家柄がいいとか、そんなミーハー的要素では、遊び相手にはなっても、結婚を選択することはない。もっと、内面的に、質の高い人格を備えた男性を求めている。
そして、その理想に近い男性が、なかなか現れない、ということだろうか。
更には、米国に次いで、離婚率世界第二位という韓国としては、彼女たちが結婚に踏み切る積極的な動機も見当たらないのであろう。
男性が独善を排除して、自らを磨き高めて、対等なパートナーとして、女性を受け入れない限り、この状態は変わらない。
今のままでは、結婚は、しても地獄、しなくても地獄であるなら、しない方を選択して、少しでも、自由な人生を送りたい、と考えるのかも知れない。
しかし、もちろん、半分以上の女性たちは、結婚を望んでいるのであることを、忘れてはならない。

女性の幸せとは何か、を自らに問い続けながら、結局は、人生の苦楽を共にできるパートナーを求める道を望んでいるのであろうか。それは、韓国の女性に限ったことではない。
大切なことは、それを、女性が、自分で選択する力を得たことである。
国連によって、「先進国」の認定を受けた韓国としては、それに相応しい”結婚のあり方”を、女性自身が構築し、名実ともに、先進国女性として羽ばたいていくことであろう。