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かつて、日本で奇妙な語学ブームが起きたという。
NHKが、ラジオで韓国語の講座を放送しているが、この講座のテキストが”ベストセラー”になった、という。 NHKの語学講座のテキストで最大の売り上げをあげているのは、もちろん英語である。単に英語に関心や興味があるから、という理由でなく、社会のニーズに適応したいという人たちによって、大きな需要を維持している。 ところが、突然、韓国語のテキストが売れて、英語に次いで、2位の地位を確保したというのである。 これは、どう考えて見ても、社会的ニーズによって、人々が韓国語を勉強しよう、という理由でないように思う。 タイミングは、ちょうど、例の”冬ソナ”の放映とリンクしているらしい。 好意的に見ると、純粋な好学的発想から、韓国語を勉強して、”冬ソナ”をはじめとする韓国ドラマを字幕や吹き替えなしで、韓国語で聞いて理解したい、という気持ちからであろう。 少し不純な動機があるとすれば、韓国を旅行して、あわよくば、”ヨン様”と韓国語で挨拶したい、という下心があったかも知れない。 韓国語は、語順が日本語と似ているし、漢字語も多いから、日本人が勉強するのは、比較的簡単である、という、風評がある。 これは、とんでもない誤解である。 こんな甘い言葉を信じて、勉強をはじめても、何の役にもたたないうちに、挫折することは明らかである。 そんなに単純な言語ではない。否、むしろ、やればやるほど、難しい言語である。 日本で、NHKの講座を頼りにして、韓国語を何年勉強しても、韓国に行って、韓国語で日常の意思疎通をはかることができるようになることは、至難である。 韓国語に限らず、ラジオ講座で、外国語を勉強して、ネイティブと会話ができるようになることは、まず不可能である。 もし、多少なりとも、と考えるなら、学校に通うこである。 そして、最後は、留学だ。これが最善の道である。 その後、NHK韓国語講座のテキストの売り上げは、だんだん減少をたどり、最近は、ようやく、”正常な”レベルに近いらしい。 しかし、韓国語を勉強して、せめて、読み書きができるようになると、韓国に対する理解は、それだけ深まる。 韓国の小説や雑誌、新聞を読むことができるから、”生”の韓国に接することができる。 ネイテイブとの会話は無理でも、活字に接することができれば、韓国人と手紙やメールを書いたり読んだりすることができるから、韓国語ができるようになった、と感じることができるであろう。 NHKの講座をコツコツと勉強するだけでも、それくらいのことはできるようになるだろうと思う。 甘い夢は捨てて、地道な学習をお薦めしたい。 (2012/12/19)
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