心に残る名所

韓国の三宝寺刹(三大寺院)

   
韓国では、三国時代以前、仏教が伝来するや、王朝が仏教を国の宗教として保護し、広めてきた。その結果、全国に数多くの寺が設立され、歴史上、一時は10000寺院を超えるほどであった。
現在の韓国で、登録されている寺院は、1000寺院足らずである。

韓国の数々の寺院の内で、特に次の3つの寺院が、三大寺院として、古刹・名刹(こさつ・めいさつ)と呼ばれている。
それは、この3つの寺院が、それぞれ、貴重な宝物を保有しているからである。
そのため、삼보사찰(三宝寺刹)とも言われ、有名である。

*통도사(通度寺):お釈迦様の頂骨舎利を奉っている韓国最大のお寺で、불보사찰(仏宝寺刹)
*해인사(海印寺):お釈迦様の教えのすべてをまとめた経典が保管されている寺刹で、법보사찰(法宝寺刹)
*송굉사(松広寺):お釈迦様の教えを習って修行する寺刹で、승보사찰(僧宝寺刹)



通度寺

통도사(通度寺)は、慶尚南道(경상남도)梁山市(양산시)、海抜1,050mの霊鷲山(영축산)の麓にある。韓国の삼보사찰(三宝寺刹)の一つであり、中では、最古の불보사찰(仏宝寺刹)である。
この寺刹は、신라(新羅)の高僧、자장육사(慈藏律師)が、唐で仏法を勉強し帰国した後、646年に、선덕여왕(善徳女王)の命により創建されたものと言われている。

자장육사(慈藏律師)が唐で修業しているとき、文殊菩薩から석가모니(釈迦牟尼)の사리(仏舎利)と가사(袈裟)の伝授を受けて帰国している。
자장육사(慈藏律師)は、통도사(通度寺)の創建に際して、この사리(仏舎利)と가사(袈裟)とを、금강계단(金剛戒壇)に奉安することにより、불보사찰(仏宝寺刹)の称号を得た。
このため、寺刹の대웅전(大雄殿)には、仏像がなく、ただ巨大な仏壇のみが置かれているのが、特徴的である。
금강계단(金剛戒壇)に、仏様の진신사리(真身仏舎利)が奉安されているからである。



海印寺

해인사(海印寺)は、慶尚南道(경상남도)陜川郡(합천군)の가야산(伽揶山)南部に位置する古刹で、韓国の삼보사찰(三宝寺刹)の一つである。
법보사찰(法宝寺刹)と呼ばれている。
해인사(海印寺)は、신라時代の802年、애정왕(哀荘王)のとき、二人の僧、순응(順應)と이정(利貞)によって、創建されたものである。

해인사(海印寺)に現存する最古の建築物とされる장경판잔(海印寺蔵経板殿)は、世界文化遺産であり、国宝第52号に指定されている。
朝鮮時代初期の1488年に建設されたものであり、この中には、팔만대장경(八万大蔵経)が収蔵されているため、この寺刹が、법보사찰(法宝寺刹)と呼ばれるようになったものである。
대장경(大蔵経)というのは、仏様の教理をもれなく記した仏教経典の全集のことをいい、キリスト教の聖書などと同じようなものである。
世界中で約20種の重要な대장경(大蔵経)があるとされているが、ここの高麗大蔵経は高い完成度で完璧だとされている。 8万枚を超える版木に書かれているため、팔만대장경(八万大蔵経)と呼ばれる。
世界記録遺産であり、韓国の国宝第32号に指定されている。

この貴重な팔만대장경(八万大蔵経)は、自然環境の中で温度・湿度を一定に保たれている장경판잔(海印寺蔵経板殿)に保管されて、500年を超える歳月に耐えてきたことは、真に感嘆すべきことである。
見学は、장경판잔(蔵経板殿)の外からのみで、中に入ることはできない。



松広寺

송굉사(松広寺)は、전라남도(全羅南道)순천시(順天市)の조계산(曹溪山)北側の麓に位置する古刹で、韓国曹洞宗(조동종)発祥の地であり、韓国の삼보사찰(三宝寺刹)の一つである。
승보사찰(僧宝寺刹)と呼ばれている。
송굉사(松広寺)は신라(新羅)時代の末期に、혜린대사(慧禪師)(ヘンリ)が、小さな寺を立てて길상사(吉祥寺)と呼んでいたのが、創建のはじめだと言われている。
紆余曲折があったが、1208年、名称が송굉사(松広寺)となり、今日に至っている。

この寺刹は、曹洞宗(조동종)開祖の지눌(知訥)をはじめ、진각(眞覺國師)ら16人の국사(国師)を輩出するなど、お釈迦様の教えを習い、修行する高僧を多数送り出したことにより、승보사찰(僧宝寺刹)と呼ばれている。
승보(僧宝)というのは、釈迦の教えを習って修行する修行僧のことを言う。