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日本の韓流は本物か

   

記憶によれば、2003年ころだっと思う。
ちょうど”冬ソナ”こと、「冬のソナタ」なる韓国ドラマの放映がはじまり、徐々に、このドラマにのめり込む人口を増やしていった。
視聴率も、少しずつ、上向いていたようである。
このころから、世に、「韓流」という妙な言葉が流行し始めたような気がする。
特に、女性を中心に、このドラマに嵌りこみ、長い間味わったことのない、純愛の魅力にとりつかれ、それがあたかも韓国ドラマの神髄であるかのような錯覚に陥り、”韓流”という言葉を生み出した、といっても過言ではなかろう。
その真偽や善悪を論じるつもりでない。日本に、そのような風を吹かせた原動力になったのではないか、と想像する。

「冬のソナタ」は、韓国KBSで、2002年に制作放映されたドラマで、元名を「경울연가」(冬の恋歌)という。
日本で人気を博した理由の一つは、ドラマのストーリも大きいが、同時に、主演の俳優に対する憧憬が大きかったような気がする。
主演の裵勇俊(배용준)(ペ・ヨンジュン)そして、崔志宇(최지우)(チェ・ジウ)の二人だ。
日本には、しばらくなかったタイプの清純な感じの俳優たちに対する憧れであったように思う。

このドラマを契機に、日本では、放送界がこぞって、韓国ドラマの放送に凌ぎを削ってきた。
韓国ドラマさえ放送していれば、視聴率を稼ぐことができる、と考えていた。
そして、「韓流」という言葉が定着してきたように思う。
だが、果たして、ほんとうに、日本の国民が、みんな韓国ドラマに嵌り、韓国流に嵌ってきたのだろうか。
かねてから、両論があったことは否めない。

2011年、朝日新聞社が、韓流意識に対するアンケート調査を行い、2011年10月22日付同紙上に報告された。
(右上の新聞紙面をクリックすると、紙面が拡大される。)
以下は、その概要である。

[設問](1)韓流ドラマ見てますか?
*よく見ている 11%
*時々 13%
*あまり見ていない 10%
*見ていない 66%

[設問](2)(「よく見ている」「時々」の人が答えました)
いつから見るようになった?
*2003年より前 10%
*「冬のソナタ」が放送された03年ごろ 34%
*05年ころ 14%
*07年ころ 11%
*09年ころ 13%
*昨年 11%
*今年 7%

[設問](3)(「よく見ている」「時々」の人が答えました)
韓国ドラマと日本のドラマのどちらを多く見ている?   
*日本 46%
*同じくらい 21%
*韓国 33%

[設問](4)(「よく見ている」「時々」の人が答えました)
最近のドラマでとくに好きな作品は?   
*トンイ 281人
*アイリス 255
*朱蒙(チュモン) 222人
*太王四神記 215人
*私の名前はキム・サムスン 170人
*宮(クン)Love in Palace 138人
*美男(イケメン)ですね 133人
*華麗なる遺産 130人
*ホジュン~宮廷医宮への道~ 123人
*コーヒープリンス1号店 112人

[設問](5)Kポップは好き?
*すごく好き 1%
*まあまあ好き 22%
*あまり好きではない 32%
*嫌い 13%
*聞いたことがない 32%

[設問](6)最近の韓国映画は好き?
*すごく好き 1%
*まあまあ好き 14%
*あまり好きではない 17%
*嫌い 9%
*見たことがない 59%

(回答総数 3766人)


この単純なアンケートから、結構興味あることが浮かび上がってくる。
この結果を、どのような読むか、いろいろな見方があろう。
だが、韓国ドラマというものが、決して、遍く日本国民に好まれて広がっているものではなく、ごく一部のファンによって支えられたものであることが、明確に理解できる。
しかも、その熱心な韓国ファンでさえ、韓国ドラマだけでなく、また日本のドラマも結構たくさん見ているということを考えると、果たして、日本に、本当に「韓流」と言うべき特異な熱情が存在するのか、いささか、疑問に思わざるを得ない。
いささか、ある種の力が作用して、”作られた韓流”であるような気がしてならないのである。

否、もう少し正確に言うならば、あえて、「韓流」などと言わなくても、ごく自然に芽生えてきた一つの異国文化に対する憧憬のようなものなのではなかろうか。
このアンケートに対する朝日新聞の解説文には、”韓ドラを見ない、という人からは、「ダラダラと長いだけ」「韓流ばかりでうんざり」といった声が届いた。
地理的にも、文化的にも近いから愛憎半ばするのかも知れない”と結ばれている。