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올레길(オレ道)の散策
   

世はウォーキング・ブームである。
韓国でもどこに行っても、ウォーキングをする人たちの姿に接することができる。
自然を楽しむ、というより、健康ブームが招いた現象である、と言ってよかろう。
ソウルなど韓国の都会で歩く人が何と多いことか・・・それが何よりの証拠である。

韓国でウォーキング・ブームに火をつけたのは、済州島の”울레”だそうである。
そして、これを真似て韓国各地に周遊散策路が造成されてきた。
しかし、一方で、その散策路での殺人事件まで、引き起こしてしまった。

今回、동아일보(東亜日報)紙で、済州島”울레”に端を発した散策について、示唆に富んだ小編が掲載されていたので、その記事の全文をご紹介しよう。

올레길 걷기

제주도 말 올레는 집 앞에서 마을길까지 이어지는 골목을 뜻한다. 스페인의 산티아고 순례길에서 착안해 제주도의 도보여행 코스를 만든 게 올레길이다. 끊어진 길을 잇고, 잊혀진 길을 찾고, 사라진 길을 불러내 조성한 25개 코스가 바다 산 들 오름(기생화산) 곶자왈(북방남방한계 식물이 공존하는 숲) 마을 돌담길을 따라 걸으며 제주의 신비에 빠져들게 한다. 올레는 제주에 올래?라는 초대의 의미도 담고 있다. 한 해 100만 명을 훌쩍 넘는 사람들이 추억 평안 치유 건강을 찾아 올레길을 걷는다.

올레길은 전국적인 걷기 열풍을 불렀다. 지리산 둘레길, 강화도 둘레길, 서울 성곽길, 울산 어울길, 무등산 옛길이 잇달아 생겨났다. 찾은 길 속에 만든 길이 끼어들다 보니 자연미와 생태계를 훼손했다는 지적도 따랐다. 출판가에선 걷기 예찬류의 책들이 쏟아졌다. 인터넷서점 예스24에서 걷기를 검색하면 131종의 책이 뜬다. 그 중 100종이 올레길 제1코스가 개장한 2007년 9월 이후 출간됐다. 요즘 레포츠 업체들은 투박한 등산복, 등산화 대신 워킹, 트레킹에 적합한 의류와 신발을 주력 상품으로 내놓는다.

걸어서 세계를 일주한 프랑스 생물학자 이브 파칼레는 우리의 지성은 우리의 걸음이 잉태한 자식이다라고 썼다. 예수도 부처도 걷고 또 걸으면서 깨닫고 가르쳤다. 아리스토텔레스가 걷기를 즐기지 않았다면 소요학파는 족적을 남기지 못했을 것이다. 애플 창업자 스티브 잡스는 중요한 결정을 앞두고 산책길에서 생각을 가다듬었다. 걷기 예찬을 쓴 다비드 르 브르통은 걷기는 세계를 느끼는 관능에로의 초대라고 했다.

올레길을 혼자 걷던 여성이 끔찍하게 피살됐다. 사건이 발생한 코스는 잠정 폐쇄됐다. 휴가철인데도 올레길을 찾는 여행객이 크게 줄었다. 사단법인 제주올레가 몇 가지 안전수칙을 제시했다. 혼자 온 여행객은 각 코스 출발시간을 오전 9시로 맞춰 함께 건는다. 하절기 6시동절기 5시 이후는 걷기를 자제한다. 혼자 걸을 때는 수시로 자기 위치를 지인에게 알린다. 셋이 함께 걸으면 반드시 스승이 있다(삼인행 필유아사 )는 말이 있듯이 여럿이 길동무를 삼으면 안전한 올레길에서 경치를 감상하고 인생의 지혜도 배울 수 있을 것이다.

(동아일보 2012-7-24)


以下に、全文を、日本語に翻訳しておく。

올레길(オレ道)の散策

済州島(チェジュド)の言葉で「オレ」とは、自宅前から町の公道まで続く小路を意味する。スペインのサンチアゴ巡礼道に目をつけ、済州島の徒歩旅行コースを作ったのが「オレ道」である。寸断された道をつなぎ、忘れられていた道を探し出し、なくなった道を呼び戻して作った25のコースがある。海や山、野原、오름(小火山)、곶자왈(原始林)そして町の石壁の道に沿って歩きながら、済州の神秘に浸ることができる。オレは、韓国語で発音が同じ「済州に来る?(オレ)」という招きの意味も含まれている。年間100万人を超える人たちが、思い出や安らぎ、癒しを求めて、オレ道を歩く。

オレ道は、全国的にウォーキングのブームを引き起こした。智異山周遊道、江華島周遊道、ソウル城郭道、蔚山오울길(周遊道)、光州無等山旧道が次々と生まれた。”見つけ出した道”の中に”作った道”が加わることになり、自然美や生態系を破壊させたという指摘も相次いだ。
出版業界では、「ウォーキング」を称える本が次々と発売された。ネット上の本屋を検索すれば、131種の本が出てくる。そのうち、100種がオレ道の第1コースがオープンとなった07年9月以降に発売されたものだ。最近、レジャー・スポーツメーカ各社は、不恰好な登山服や登山靴の代わりに、ウォーキングやトレッキングに適した衣類や靴を主力商品として発売している。

徒歩で世界を一周したフランス人生物学者、Yves Paccalet(イブ・パカレ)は、「我々の知性は、我々の歩みが孕んだ子供だ」と書いた。イエスや釈迦も、絶えず歩きながら悟り、教えた。Aristoteles(アリストテレス)はウォーキングが好きでなかったなら、「逍遙学派」は足跡を残すことができなかっただろう。アップルの創業者、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)は、重要な決定を控えていた時は、散歩道で考えを整理した。
"In Praise of Walking" (ウォーキングの礼賛)を書いたDavid le Breton(ダヴィド・ル・ブルトン)は、「ウォーキングは世界を感じる官能への招待だ」と主張した。

一人でオレ道を歩いていた女性が、悲惨な形で殺された。事件が発生したコースは一時、閉鎖された。夏休みシーズンなのに、オレ道を訪れる旅行客が大幅に減っている。
社団法人「済州オレ」がいくつかの安全ルールを示している。一人だけの旅行者は、各コースの出発時間を午前9時に合わせて大勢で一緒に歩く。夏シーズンは6時、冬シーズンは5時以降はウォーキングを自粛する。どうしても一人で歩く時は、頻繁に自分の居場所を知人に知らせる…。
論語に「三人行必有我師」(3人が一緒に行動すれば必ず師匠がいる)という言葉もあるように、複数の人が一緒に歩けば、安全なオレ道となり、景色を楽しみながら、人生の知恵も学ぶことができるだろう。

(東亜日報 2012-7-24)


本文中、最後に出てくる「三人行必有我師」は、論語の一節で、原文は次の通りである。
[子曰。三人行必有我師焉。擇其善者而從之。其不善者改之。]

「三人行必有我師」は、[三人行えば必ず我が師有り]と読む。
三人で同じ事を行えば、他の人の善を見て従うことができ、また不善を見て反省できるので、自分の師とすることができる、という意味である。

漠然と散策するのではなく、その中から人生の知恵を学ぶ心をもつことが、価値ある散策となることであろう。
志を一にする人と一緒に・・・
最近は、オレ道での殺人事件の影響で、韓国全土でオレ道やトゥレ道への散策者や旅行者が激減しているそうである。