トレッキングを楽しむ

ソウル城郭道

   
ソウル城郭道の歴史

朝鮮王朝は1392年태조(太祖)이성계 (李成桂)によって建国され、それから1910年日本統治になるまでのおよそ500年余りにわたり、朝鮮半島を修めていた王朝である。
태조(太祖)は、建国と共に、首都を高麗の首都であった開京(現、北韓の開城:개성)から漢陽(現、ソウル)に遷都し、경복궁(景福宮)を創建し、更に종묘(宗廟)を建造した。
そして、同時に着手したのが、城郭の建設であった。
当初、土製の城壁であったが、15世紀になって、石城に改修された。
しかし、長い歴史の中で、城壁は整備される一方で、発展の妨げになったりして、次第に荒廃していく。
20世紀に入ると、ソウル近代化計画の一環として、平地の城壁は撤去されてしまった。
その後、1975年になって、韓国政府は、本格的に城壁の補修に取組み、現在もなお続いている。この事業は、2013年に完成の計画である。
20世紀半ばに、北朝鮮の侵入によって、城郭は閉鎖されてしまったが、その後2007年までに、順次開放されてきた。
今日、この開放された城郭を通じて、600年を超える歴史を辿ることができるということは、まことに貴重なことである。単に王朝時代に思いを馳せることのみならず、現在の大都市を別の角度から展望する機会でもあろう。
ぜひ、トレッキングで歴史の流れをかみしめたいものである。

ソウル城郭と城門

ソウルの都市中心部は、내사산(内四山)と呼ばれる山々によって四方が囲まれている。
내사산(内四山)というのは、北に북악산(北岳山)(342m)、東に낙산(駱山)(125m)、南に남산(南山)(262m)、そして、西に인왕산(仁王山)(338m)の4つの山を指す。
ソウル城郭はこの4つの山を結んで、一周するように建造されており、全長18.6kmに及ぶ。
そして、城郭の内側と外側とが通行できるように、東西南北に4つの대문(四大門)を築き、更にそれぞれの대문(四大門)の間に4つの소문(四小門)が建造された。

真北:북대문(北大門):숙정문(粛靖門)
真東:동대문(東大門):흥인지문(興仁之門)
真南:남대문(南大門):숭례문(崇礼門)
真西:서대문(西大門):돈의문(敦義門)

西北:북소믄(北小門):창의문(彰義門)
東北:동소문(東小門):혜화문(恵化門)
東南:남소문(南小門):광회문(光熙門)
西南:서소문(西小門):소의문/소덕문(昭義門/昭徳門)

ソウル城郭道の全貌

これら4つの대문(大門)と4つの소문(小門)を結んだ城郭歩きのコースがソウル城郭道(옛길)である。
ほとんどの門と城郭は、その跡地を残すのみであるが、城壁の上からは、600年前の王朝時代の面影と、現代の大都市の姿とを併せ持ったソウルの姿を見ることができる。
下に、18.6kmの城郭道全コースのイメージ図を掲げる。

(韓国観光公社の資料を基に加工・編集)

ソウル城郭道トレッキング・コース

ソウル城郭道は、全部で18.6kmが、4つのコースに分かれている。
トレッキング所要時間は、全コースで約9時間30分という。
以下に、4つのコースを概観して見る。

창의문(북소문)(彰義門/北小門)から혜화문(동소문) (恵化門/東小門)まで
★コース順路
창의문(북소문)(彰義門/北小門) → 청계천발원지(淸溪川發源地) → 최규식동상(崔圭植銅像) → 돌고래쉼터 (イルカ休憩所)→ 백악마루(白岳マル) → 1.21사태 소나무(총 맞은 소나무)(1.21事態の松の木) → 청운대(青瓦台) → 곡장(曲墻) → 촛대바위(燭台岩) → 숙정문(북대문)(粛靖門/北大門) → 말바위안내소(馬岩案内所)→ 와룡공원(臥龍公園) → 경신고등학교 성곽흔적(儆新高等學校 城郭跡) → 서울시장 공관(ソウル市長公邸) → 혜화문(동소문) (恵化門/東小門)

このコースでは、外国人は、当日、パスポートまたは外国人登録証が必要である。パスポートまたは外国人登録証を持参していないと、通行許可証の発給が受けられない。

★コース所要時間
4.6km。 約4時間の所要。

★북악산(北岳山)の入山制限
4~10月:09:00-15:00
11~3月:10:00-15:00
いずれも17:00までには、下山しなければならない。

★アクセス
창의문(북소문)(彰義門/北小門)へは、地下鉄3号線경복궁역(景福宮駅)で下車。マウル・バス(緑色)の0212番、1020番、7022番に乗車して지하문고개(紫霞門峠)バス停で降りると、徒歩2分。

혜화문(동소문)(恵化門/東小門)から광희문 (光熙門/南小門)まで
★コース順路
혜화문(동소문)(恵化門/東小門) → 삼군부총무당 (三軍府總武堂)→ 낙산공원(駱山公園) → 낙산(駱山) → 동대문성곽공원 (東大門城郭公園)→ 흥인지문(동대문) (興仁之門/東大門)→ 이간수문(二間水門) → 오간수교(五間水橋) → 동대문역사문화공원 (東大門歴史文化公園)→ 광희문 (光熙門/南小門)

★コース所要時間
5.0km。 約3時間の所要。

★アクセス
혜화문(동소문)(恵化門/東小門)へは、地下鉄4号線혜화역(惠化驛)で下車して1番出口。
あるいは、地下鉄4号線한성대입구역(漢城大入口驛)で下車して5番出口。徒歩2分。


광희문(光熙門/南小門)から숭례문(남대문) (崇礼門/南大門)まで
★コース順路
광희문(光熙門/南小門) → 장충체육관(奬忠體育館) → 우수조망소(展望所) → 자유센터(自由センター) → 국립중앙극장(国立中央劇場) → 남소문터(南小門址) → 소나무탐방로 → 서울타워(Nソウルタワー) → 팔각정(八角亭) → 남산봉수대(南山烽燧臺) → 잠두봉 포토아일랜드 (蠶頭峰フォトアイランド)→ 조선신궁터 (朝鮮神宮址)→ 안중근의사기념관(安重根義士記念館) → 백범광장 9(白凡広場)→ 숭례문(남대문) (崇礼門/南大門)

★コース所要時間
約4.0km。約4時間30分の所要。

★アクセス
장충체육관(奬忠體育館)へは、地下鉄3号線동대입구역(東大入口驛)で下車して、5番出口。目の前にある。
광희문(光熙門)は、동대문시장(東大門市場)の近くに建っている。

숭례문(남대문) (崇礼門/南大門)から창의문(북소문)(彰義門/北小門)まで
★コース順路
숭례문(남대문) (崇礼門/南大門)→ 남지터(南池址) → 소의문터(서소문)(昭義門/西小門) → 시위병영터 → 배재학당(培材學堂) → 정동교회(貞洞敎會) → 정동극장 (貞洞劇場)→ 이화여고(梨花女子高) → 정동공원 (貞洞公園)→ 구러시아공사관 (旧ロシア公使館)→ 돈의문터(敦義門址) → 경교장(京橋莊) → 월암근린공원(月岩近隣公園)→ 홍난파 가옥(洪蘭坡家屋)→ 권율장군 집터(權慄將軍 家址)) → 딜쿠샤(엘버트테일러가옥) ( Albert W. Taylorの家)→ 우수조망소(展望所)→ 국사당(國師堂) → 단군성전(檀君聖殿)→ 황학정(黃鶴亭)→ 인왕산(仁王山)→ 기차바위(汽車岩) → 인왕산길(仁王山道) → 팔각정(八角亭) → 윤동주시인의언덕(尹東柱詩人の丘:清雲公園) → 창의문(북소문)(彰義門/北小門)

★コース所要時間
約5.0km。約4時間の所要。

★アクセス
숭례문(남대문) (崇礼門/南大門)へは、地下鉄4号線회현역(会賢駅)で下車し、5番出口から徒歩約5分。


[1.21사태(事態)]:1968年北朝鮮ゲリラにより発生した청와대(青瓦台)襲撃未遂事件。
1968年1月、北朝鮮の第124部隊に所属する31名が休戦ラインを越え、当時の박정희(朴正煕)大統領と閣僚たちの暗殺を狙って、韓国内に侵入してきた。
しかし、청와대(青瓦台)手前の북한산(北漢山)で、情報により警戒中であった韓国当局による検問を受け、銃撃戦の後、突入は阻止された。
これにより、北朝鮮側の1名は逮捕、29名が射殺され、残り1名は自爆したという。
逮捕者の供述により、侵入の目的や、北朝鮮における特殊部隊の存在などが明らかになった。
Rev.A3:2012-12-17