韓國料理
 
 
韓国料理というと、日本人は「ピビンパ」、「チヂミ」、「キムチ」などの料理を思い描く人が多い。しかし、他の西欧諸国の人々からみると、一般に韓国料理は後進国料理だという評価で、受け入れがたいと考える外国人が多い、という。
それは、料理そのものというより、主として食べる方法に起因する問題であると見られる。
例えば、鍋料理では、鍋を囲む人々が、自分の口をつけたスプーンや箸を直接鍋に入れて、そのまま料理をとって自分の口に入れる。
あるいは、大きな金属の容器でピピンバを作り、かき混ぜながら、複数の人たちで一緒にスプーンですくって食べる、など、非衛生的な面を指摘する。
このような韓国の食べ方は、日本人でも、受け入れがたい。グローバル化されていないのである。つまり、食の先進化がなされていない、と言えるであろう。
日本なら、鍋や容器から、料理を取り分けるための箸やスプーンを使って、自分の皿にとり、自分の皿から、自分の箸やスプーンを使って食べるのが普通である。
 
先進性の欠如という意味では、更に、味付けの問題もある。中国、韓国、日本などでは、陰陽五行思想の五味に則り、料理に[甘、辛、酸、苦、塩]を調和させることが大切なポイントの一つである。
だが、外国人の評価によると、韓国料理は、徒に[辛さ]だけを追求していて、受け入れがたい、というものである。
これも、韓国料理がグローバル化されない大きな原因であるとされる。
 
このように、とかく外国人には評判のよくない韓国料理であるが、韓国の中では、実に料理の種類が多く、多岐にわたっている。
陰陽五行思想の五法から見ると、[焼く、煮る、蒸す、炒める、生]がすべて生かされているといってよい。
韓国料理を食べに行くと、まず、おかず(반찬)の種類の多いことにびっくりするが、これも、料理の中に含めて考えるべきであろう。
ここでは、韓国料理の韓国語名称を紹介することが目的であるので、料理の文化的、学術的側面については、ふれないことにする。
 
スープ類(탕/국)
 
韓国語で料理名の語尾に、・・탕(タン)とか・・국(クッ)がつくのは、いわゆる「スープ類」だと考えて間違いない。
ここで、・・탕(タン)と・・국(クッ)の違いは何か、と問われると、答えに窮する。・・탕(タン)の方が、古典的で、格式が高いスープ名だという説がある。
更には、・・탕(タン)も・・국(クッ)も、スープに具が入ったものであるが、実際には、後で述べる「鍋類」との違いが歴然としない。
したがって、名前の意味にとらわれることなく、流通している名前で憶えておくのが適当だろうと思う。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
미역국ミヨックッ わかめスープ
만두국マンドゥクッ 水餃子入りスープ
해장국ヘジャンクッ 牛肉、豚の背骨、野菜などが入ったスープ。酔い覚まし用スープ。
해물탕ヘムルタン 海鮮鍋。魚介類など海のものを豪華に入れた鍋の代表格。
감자탕カムジャタン 豚の背骨とジャガイモを煮込みコチュジャンなどで味付けする。韓国の代表的料理。
삼계탕サムゲタン 鶏肉に高麗人参、もち米などを入れて煮込んだスープ。真夏の疲労回復料理。
설렁탕ソルロンタン 牛の肉・骨を水で10時間以上煮込む。韓国の代表的な料理。
매운탕メウンタン 해물탕(ヘムルタン)ほど魚介の素材が豪華ではなく、魚のアラを使ったスープ料理。
갈비탕カルビタン 牛の骨付きカルビをじっくりと煮込んだスープ。
 
鍋類(찌개)
 
韓国料理というと鍋料理[찌개]といってもいいくらい、日本人にも有名であるし、種類も多様である。
汁の中に、何でも、何か具を入れて煮込めば鍋料理の完成である。スープ類と何が違うのか、と問われると、定義をするのに苦慮するが、スープはあくまでスープであって、찌개(鍋)はいわば主菜である。だから、一般に鍋の中は具だくさんである。
鍋の中は、肉、野菜、魚介類など、何でもある。以下に「**찌개」という名前がつく代表的な鍋料理をリストしてみる。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
김치찌개キムチ・チゲ 白菜キムチと肉、魚介類などを煮た鍋。醤油、唐辛子粉などで味付けをする。
된장찌개テンジャン・チゲ 肉、魚介類、野菜などを煮て味噌で味付けをした鍋。
순두부찌개スンドゥブ・チゲ やわらかな純豆腐を魚介類、野菜と共に煮込み唐辛子で味付けした鍋。
두부찌개トゥブ・チゲ 豆腐を魚介類、野菜と共に煮込み唐辛子で味付けした鍋。
부대찌개プデ・チゲ キムチ、野菜、ハム、チーズ、餅、ラーメンなど何でも入れた量感豊かな部隊鍋。
동태찌개トンテ・チゲ 동태(冷凍スケトウダラ)を野菜、肉、魚などと味噌・ヤンニョムで煮た鍋。
 
肉類(고기)
 
肉といえば、焼いたり、炒めたりをはじめとして、スープに入れたり、鍋にいれたり、韓国では料理に欠かすことのできない材料である。
肉の種類も牛肉、豚肉、鶏肉と、何でもある。
したがって、肉料理というと、見方によっては、大部分が肉料理であり、「肉類」という分類があり得るのかどうか、疑問である。
韓国人は、一般に肉を好きな民族である。ここでは、彼らの主菜としての肉料理である[焼肉]を中心にリストしてみる。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
고기コギ 焼肉。소고기(牛焼肉)、돼지고기(豚焼肉)が代表的。
갈비カルビ あばら肉。骨付き肉のこと。소갈비(牛カルビ)、돼지갈비(豚カルビ)など。
불고기ブルコギ 醤油ベースで味付けした牛肉を、野菜、春雨などと鍋で炒め煮る肉料理。
삼겹살サムギョプサル 豚バラ肉の焼肉。代表的な肉料理でサンチュに包んで食べるとよい。
 
海鮮類(해물)
 
魚介類、蟹などの海産物を使った料理で、生の刺身をはじめ、煮つけ、炒めもの、焼き物、鍋物など、多様な種類がある。
刺身は、生の魚を、わさびではなく、コチュジャンをつけて食べるのが面白い。また、生のワタリガニをタレにつけて熟成させた게장(蟹醤)は、代表的な海鮮料理である。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
게장ケジャン 生のワタリガニのヤンニョム漬。醤油味と唐辛子味とがある。
낙지볶음ナクチポックム 蛸を野菜と共に炒め、辛口の味に仕上げたもの。
생선회フェー いわゆる刺身。ワサビではなく、コチュジヤンをつけて食べるのが特徴。
해물탕ヘムルタン 海鮮鍋。魚介類など海のものを豪華に入れた鍋の代表格。
 
ご飯類(밥)
 
白いご飯以外に、海苔を巻いたもの、お粥、炒めたもの、焼いたものなどがある。
日本でも、有名な代表的なものはピビンパであろう。日本人の好むものは、石釜に入れて焼いた[石焼ピビンパ]돌솥비빔밥(トルソッピビンパッ)と言い、人気がある。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
김밥キムパッ 海苔巻。ただし、酢飯は使わない。他におにぎりもある。
국밥クッパッ スープにご飯をいれる雑炊のような料理。
チュク お粥。米の粒をよく潰してあるのが特徴。
비빔밥ピビンパッ 丼などの容器にご飯とナムル、肉、鶏卵などの具をいれ、かき混ぜて食べる料理。
볶음밥ポックムパッ 炒飯のこと。いろいろな具を入れるが、キムチチャーハンがポピュラーである。
 
麺類(면/국수)
 
韓国の麺類には、それほど種類があるわけではない。その中で、若い人たちにも人気があるのは、냉면(冷麺)、짜장면(チャジャー麺。ジャージャー麺とも言う。)ではなかろうか。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
칼국수カルグクス 手打ち麺。魚介類や肉、鶏卵などでダシをとり、塩あるいは醤油で味付けして煮る。
냉면ネンミョン 冷麺。蕎麦粉を原料にして小麦粉を加えた麺料理。スープ冷麺と混ぜ冷麺がある。
짜장면チャジャンミヨン チャジャン麺。麺に黒味噌とカラメルのソースをかけて食べる。やや甘い。
 
粉食類(분식)
 
粉食(분식)という料理のジャンルがあるのかどうかわからないが、韓国に行くと、분식점(粉食店)というのが目につく。元来、小麦粉などの粉を主たる材料として作られる料理の総称らしいが、どうも確たる定義があるわけではなさそうである。
日本でも結構名前が知られている料理が多く、チヂミ、ラーメン・うどんなどの麺類、餃子をはじめとして、海苔巻まで含まれている。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
수제비スジェビ すいとん。水で練った小麦粉を手でちぎって肉や魚介類のスープで煮込む。
떡볶이トッポッキ 細長い餅をコチュジャンで炒めたり煮たりした代表的料理。
만두マンドゥ 餃子。焼き餃子より蒸し餃子が一般的。水餃子、餃子スープ、餃子鍋などがある。
부침개/전プッチムゲ/ジョン チヂミ。海鮮類、ネギ、キムチなどの素材に小麦粉を塗して焼いた料理。
라면ラーミョン 即席ラーメンのこと。キムチ、餃子、鶏卵などを入れる。最近、生麺も出てきた。
 
その他の料理
 
料理のジャンルとしてはうまく分類しにくいが、韓国料理としては欠かすことのできない料理を一括して掲げる。
韓国においてもポピュラーであるし、もちろん日本でもよく知られた料理が含まれている。しかも、韓国料理の根幹をなすものが多い。
最も代表的なものは김치(キムチ)であり発酵食品の王様である。その種類200種以上に及ぶという。 そのほか、나물(ナムル)なども欠かすことはできない。
 
料理名日本語読み料理の内容備考
김치キムチ 白菜などの野菜と塩・唐辛子、魚介塩辛、ニンニクなどを漬け込んだ発酵食品。
나물ナムル おかず。野菜、山菜など多様な素材を調味料、ごま油で和えたもので家庭用常備菜。
잡채チャプチェ 당면(唐麺)と呼いう春雨と牛肉、野菜などをごま油で炒め、甘辛く味付けしたもの。
팥빙수パッピンス かき氷。かき氷に小豆、アイス、イチゴ・バナナを載せシロップで味付けしたもの。
식혜シッケ 炊いたもち米を麦芽粉から抽出した水で発酵、砂糖を加えて煮た後冷やして飲む。
 
 
 
 
韓国のことわざ
 
 
発行 : 韓国文化研究所
(発行:2013-10-01)
(改訂:2013-10-13)